ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

エブリスタファンタジー連載:37話完結

クリストキントの贈り物

ドイツの架空の村が舞台。身分が違えば話すことはおろか相手をみることもできない、そんな時代のお話だ。 三人の生まれも育ちも違う子供たち。 クリストキントは三人に素敵な時間をプレゼントした。豪華なごちそうをたべながらお互いを理解する時間。 そしてそのときの三人は友情をはぐくみ、移動するいかけ屋の息子マルコは定住して教師になる。そして子供たちにあきらめないことを教える。 美しい話だ。メルヘンだと一笑に付してはいけない。 元来子どもたちは人種・門地・身分・財産で他人を差別する心を持たない。 大人が差別を教え込んでいくのである。 差別は偏見を生み、人と人、国と国とを分断する。自分たちと違う外見、思想を排斥しようとする。それに利害が絡みついて戦争が引き起こされる……。負のループだ。 それを断ち切るのに必要なものが教育である。 本文の最後で、教師になったマルコはいう。 「どの道を志すのも間違いじゃない。君たちが進みたい道を選べばいい。ただそのとき、運命だからといって諦めるのは少し待ってほしい。道はみずからの手で切り開くことができるんだ……」 力強く高らかな宣言である。 新しい年がすぐ目の前にある。 この物語を読んで、自分を取り戻し、進みたい道をいく算段をしてみようじゃないか。きっと道は開けるはずだ。 2021/12/24

5.0
  • 作品更新日:2021/12/24
  • 投稿日:2021/12/24
エブリスタヒューマンドラマ連載:7話完結

シーラカンスと黄色い潜水艦

二人組のロックバンド、イエローサブマリンは浅黄の天才と詩愛(シーラ)の声で破竹の進撃を続けてきた。はずなのに……詩愛は浅黄から突然の終わりを告げられる。 詩愛は「自分は相手との接し方を間違っていたのではないか」と自分を責めて、ただ浅黄を待ちながら毎日を過ごしていた。 失ってからわかる相手の大切さ。見て見ぬふりをせずもっと踏み込んでおけば、浅黄を失わずに済んだのではないか、という苦い後悔が詩愛を苛む。 そんなときにラジオに届いた1通の手紙が詩愛を行動に駆り立てる。 自分と他人と。ついつい距離をとったり、かかわるのを避けたりするけれども、一歩踏み出せば全く違う景色に出会えるのかもしれない。 「くよくよ悩んでないで行動してみよう、そうしたら何かが変わるよ、必ず。」 そんな作者さまからのあたたかいメッセージが聞こえてくる。 元気が倍増してすぐに大冒険に繰り出したくなるような作品でした。もちろんBGMはビートルズのイエローサブマリンで。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/20
  • 投稿日:2021/12/20
エブリスタその他短編完結

星屑のスピカ

同級生に告白するチャンスを逃したミラ。かつての思い人を思いきれないままに10年が経った頃、その彼(清水)から呼び出される。 ここでかっこ悪くなっていてくれたらいいんですが(笑)、当然素敵になっていてパールのネックレスまでしている。軽口を言いながら「仕事の話かよ」ってむくれるミラが思い浮かぶようでした。 そして話は急展開。仕事場というのが同じ地球にある違う空間。この描写がすばらしく、広大無辺な星空のなかにいるような気がしました。読んでいるときに感じたひんやりとした空気はきっと星たちが瞬くときに起こる風だったのでしょう。清水とアミツカイ族の子たちが遊んでいるのははるか遠く、点にしか見えないのに、急にレナに話しかけると、等身大になっている。なにか収縮拡大が自在な世界にいるようなです。 アイテムも星くず成分の惚れ薬とか天使のパールとか、もう本当にかわいらしい。 読んだ後に夜空を見上げたくなるようなお話でした。冒頭と結末の呼応もいいですね。 素敵な作品をありがとうございました。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/8
  • 投稿日:2021/12/16
エブリスタヒューマンドラマ短編完結

それでいいの?

作品を書くことは孤独なことだ。 ひとり黙々とパソコンに向かった先にほのかに見える脱稿の2文字。 その2文字を目指して書き進めていく。 ところが、とかく賞レースに嵌ると、賞のために書くようになりがちだ。 結果に一喜一憂し、書くことの本来の意義を見失う。 書くことの本来の意義とは何か。 それは自分が世間に向かって問いかけること、いいたいことを発表することである。 本作品はシンプルな文体と文章で、そのことが実に分かりやすく書いてある。 ものを書くひとはぜひ読んでほしい。 文章が平坦で走り書きに近いので-0.5しました。

4.5
  • 作品更新日:2021/12/1
  • 投稿日:2021/12/16
エブリスタファンタジー連載:8話完結

星集めの絵

星集めの画家、もう名前だけでロマンティックである。 その画家であるステラと、需要のない魔法しか使えないアルバートの素敵な恋の物語。 とにかく色彩や景色が美しい。星は紫紺の空にチカチカと無数に輝き、ステラとアルバートの瞳の色はひとつに混ざり合う。そして最初と最後に出てくるクリスマスの町の華やかさ。 ここで何語も費やして説明するより本文を読んでほしい。 アルバートの悩みは魔法に需要がないこと。しかしステラと出会って能力が開花する。きっとアルバートの魔法はステラのために用意された特別な力なんだ、と思った。 誰でも、大切な誰かのためになら力を発揮できるし、それが予想以上の結果に結びつくのに違いない。 ところで、今までうまく使えないものが相手を得て使えるようになる、というのはとても示唆に富む。 例えば会社で、上司が変わったとたんに生き生きと仕事ができるようになったり……。 能力を発揮できる人との出会いは人生でとても重要だ。 そんなことを読み終えて漠然と思った。 あまりロマンティックではないのは、わたしがトシをとったせいだ。きっとそうだ。 素敵な物語をありがとうございました。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/3
  • 投稿日:2021/12/24
エブリスタファンタジー連載:5話完結

確保できません!

本作での作者さまの着想は斜め上を行っていた。 サンタの敵は、なんとあの転売ヤー。 日本の社会問題がよもやよもやサンタと結びつくとは! 短い時間で、アイディアを実によく練られたのはさすがです。 転売ヤーの特徴を押さえ、毒のない、しかし確実にダメージを与える方法で転売ヤーを撃退する作戦はお見事のひとこと。 行列をみごとに「本当に欲しい人」と「利益のみをほしがる人」に二分する、楽しい作戦は、読んでいてわくわくしました。 いつの時代でもサンタクロースは子どもたちのために最大の努力を払うんですね。 スカッと楽しい作品をありがとうございましたm(__)m

5.0
  • 作品更新日:2021/12/13
  • 投稿日:2021/12/19
エブリスタ恋愛短編完結

冬の花

彼が欲しくてならない舞花。恋に恋するお年頃らしく何をみても何をしてもまだみぬ恋と恋人を妄想してしまう。 この妄想がまたひどく他愛なくかわいらしい。 終業式の夜、舞花はヤンキーっぽくて敬遠していた風太に呼び出される。 安定したボーイミーツガールストーリーなのでこの先は書かない。 ここからは、美しい詩情溢れた描写を楽しんでほしい。 いとも簡単に恋に落ちることができるのも若さの特権だなあ、とオバサンはしみじみと思うのである。 とはいうものの、もう少しヤンキー風ニイチャンに惹かれていく舞花の心情の変化を丁寧に描写してほしかったので、-0.5しました。

4.5
  • 作品更新日:2021/12/15
  • 投稿日:2021/12/19
エブリスタ恋愛連載:4話完結非公開

時を刻む聖夜の電飾

人の想いはそのひとがいないからといって、止まっているわけではない。 誰かにバトンタッチしていく。その思いを時計に仮託した作品。 文中に父の腕時計、彼の腕時計、町の時計、と三つの時計が出てくる。 ひとつは止まったまま、もうひとつは修理で動き出し、三つ目は新しい技術と意匠をえて趣を変えて蘇る。 古い技術の上に新しい技術を加えることで、作品は永遠の命を得るのだ。 止まっていたのは、父の時計ではなく、自分だった。 私たちも勝手に止めてしまったものがあるんじゃないかと気づかせてくれる作品だった。 構成が難しくて3回も読み直しました。もう少し描写やセリフでの説明があったほうが親切かと思い、-0.5しました。

4.5
  • 作品更新日:2021/12/18
  • 投稿日:2021/12/20
エブリスタヒューマンドラマ短編完結

在りし日のかけら

本作品は人間はいつからでもやり直せるというメッセージが込められた、短いけれど心に訴えかけてくるヒューマンドラマだ。  高校生のとき、人生に無関心で享楽的な生活を送って補導されてばかりいた沙紀が、エクステに使われている原料の調達先と、その提供者について知ったときの衝撃。 あのけばけばしい色のエクステがまさか人の髪だったとは。 しかし提供者は教育を受けられるということで満足しているのだ。 沙紀は、中流に生まれ不自由がないのに自堕落な生活を続けている自分に気づき、やり直しを決意する。  ところで恥ずかしながらエクステに使われる髪はナイロンなどの化学繊維だとばかり思っていた。もちろんつけたいと思ったことはないのだが、つけている人たちはおそらくこの事実と提供者の事実を知らないだろう。 そして美容師三年目となった沙紀のお客様はよく手入れされた髪をドネーションのために切るという。 貧困のなかで髪をうって教育を得ようとする女の子。 中流のなかで自堕落に生きている女の子。 裕福な暮らしで、自分の髪を与える女性。 この三つが美容室の鏡の中で交差するのが見えたような気がした。  もちろん髪を売ることができなくなれば、女の子たちは教科書を買えなくなるし、髪を寄付する行為によって治療のつらさの一端が軽減されるのだから、軽々に何が悪い、これが悪い、金持ちは奢っているという単純な話ではない。  しかし一度、今、あたりまえに享受している生活と幸福について思いを巡らせてみることは必要だ。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/10
  • 投稿日:2021/12/25
エブリスタヒューマンドラマ連載:4話完結

自由への翼

作者さまはプロのシンガーで作詞作曲もされる。詩人の言葉はところどころ、美しく光芒を放っている。 例えば、「屋上はいつも自由に近いところにあるように思えた」という一文、いったい何人が書けるだろうか。わたしなどは単純だから、もうこの一文だけで「僕」の孤独な世界に連れ去られてしまう。 みなさんもぜひお気に入りのセンテンスを探してみてほしい。 内容にも少し触れておこう。、 孤独な生い立ちの(おそらくネグレクトされてきた)僕が、家族の豊かな愛情に包まれて育った彼女のおおらかな気質と態度で少しずつ少しずつ他人を受け入れることができるようになっていく過程が繊細に綴られている。詩人はかくも克明かつ鮮明に出来事を記憶し再現できるのだと驚かされた。それは本人にとってはつらいことに違いないが、読み手にとってはひどく幸福なのである。 本作は詩人の手になる第一級の青春小説である。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/6
  • 投稿日:2021/12/16