Bad luck + Jump off
最終更新:2020/12/19
作品紹介
どんな相手と組んでもろくな結果にならず、『凶運』などという二つ名がついてしまったジャスレイ。今や臨時の協力者を見つけるのにも不自由する始末だ。 その日、待ち合わせ場所になかなか現れない協力者に気を揉んでいると、奇妙な男が空から降ってきた。 こいつが今回の相棒でいいんだよな? 普段通りの依頼をこなしたつもりだったのに、妙な事態に巻き込まれ、ロクでもない二つ名が増えていく! 異世界転移ものですが、チートなし、主人公さほど強くもなし、地味で地道な冒険者稼業の話になりそうです。 ※残酷描写まではいきませんが、たまにプチグロ表現あります
評価・レビュー
葉霜雁景
加藤ゆたか@カクヨム
「凶運」の冒険者と空から降ってきた若者の王道バディxファンタジー
どんな相手と組んでもなぜか不運に見舞われる冒険者ジャスレイと、空から降ってきた謎の若者(ツッコミ属性)のロードムービーを思わせる冒険ファンタジー。 沈着冷静かつ用意周到で実は有能なのに、でも隙があって完璧からは程遠い、けど優しくて面倒見の良いお人好し——そんな愛すべきおっさん(失礼)と、何を見ても感動しつつ、ジャスレイのすっとぼけた行動にしっかりツッコミを入れてくれる青年トールのかけあいが軽妙で楽しいです。 かと思いきや、巨人族風かつ時に冷酷、という従来ではなかなか見ないエルフの設定から、とある秘密の武器を巡る冒険につながっていくなど物語のバックグラウンドもしっかり練りこまれています。 そして、時折見せるトールの暗い陰の描写、それでもそれをひょいっと大きな器で受け止めてしまうジャスレイの優しさに思わず震えてしまいました。 メインの二人だけでなく、エルフに仕える秘密の多そうな女の子や、敵対する怪しげな人々など、それでもどこか憎めないキャラクターたちが脇を彩り、戦闘シーンもジャス本人は「姑息」などと評しますが、有限の能力を創意工夫で補うその様が実に楽しいです。 Web小説らしくない、ぎゅうぎゅうに詰まった、世界が目の前に浮かび上がるような描写も魅力。王道ファンタジー好きな方にイチオシの一作です!
橘 紀里