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作者:齋藤 一明

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作:齋藤 一明

喜作

小作の子である喜作は、十歳になったら奉公に出された。 田舎者の喜作ば、不器用だが素直である。 叱られると、次には失敗しないようコツコツと努力を欠かさなかった。 奉公に出たことを、喜作はむしろ喜んでいる。なぜなら、読み書きも算盤も教えてもらえるからである。 文字や計算を覚えるのに夢中になった喜作は、遊びや買い食いの誘惑に負けず毎日の仕事に追われた。 奉公に出て十年、喜作は手代に昇格し、出入り職人との折衝も任されるようになった。 ここでも喜作の素直さが役に立ち、とかく気難しい職人が喜作を気に入り、可愛がってくれた。 手代になって五年。喜作の番頭修行が始まった。 番頭の座が現実のものになりかけたとき、喜作は恋をした。 住み込みで女中奉公に来ていた「みつ」は、無口で無愛想と評判である。 歳は十四で、無愛想では決してなく、陰日向なく働く娘なのである。 江戸者の荒い話し方が苦手な喜作は、みつと話すととても癒され、所帯をもちたいと願った。 が、奉公人同士の色恋沙汰はご法度。主人は、所帯をもつことを諦めるか、店を出てゆくかと難題をつきつけた。 悩んだ末に喜作はみつとの生活を選んだ。行くあてがみつからぬまま日だけがすぎ、喜作は途方にくれた。 しかし、一度は番頭にと見込んだ喜作を惜しんだ主人は、小間物の行商を勧めた。 喜作は、江戸市中ばかりか近在の村々にまで小間物を売りまくった。自前の店をもつために。 みつも通い女中として働いた。 はたらいて、働いて、喜作は店持ち商人となった。 かねてから喜作を可愛がってくれていた職人たちも、喜作の持ち込む難題を見事に解決して値の張る売り物を作ってくれる。それが評判となり、商いが軌道にのると、喜作は御家人株を買って武士の身分を手に入れた。 ところが、故郷に錦を飾るという当てが外れ、出役を命ぜられることになった。 金の力で武士になったことを快く思わない役人により、喜作は稽古と称して責め折檻を受ける毎日が続いた。 あまりの惨さに、明日は目が覚めるなと願いつつ、今日も目が覚めてしまう。 ウーンと伸びをした喜作は、着古した羽織の袖や、幟をたてた道具箱を目にする。驚いて見回せば、そこは柔らかな草原で、喜作を穏やかに見守るお地蔵さんがいた。 そして、気持に変化があったのか、喜作は早仕舞いをすることにした。

更新:2014/11/29

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作:齋藤 一明

明日を紡ぐ

京都で建築設計士をしていた佐竹は、バブル景気の破綻により経営が立ち行かなくなり妻子を残したまま名古屋でホームレスをしていた。ようやく掴んだ就職面接の朝、着て行く上着にあいた穴を見て面接をあきらめる。その時、公園のベンチに座り続ける男と知り合いになった。林と名乗った男は元証券マン。会社の営業方針に納得できず退職したものの、失業給付切れを目前にしてなお就職できなかった。櫻吹雪の舞う公園で意気投合した二人に新たな友ができる。老人会の行事で会場作りと手助けしていた佐竹は、通りすがりの近藤に助けを求めた。会場作りの手伝いを頼まれていた村井が到着するとすべて準備ができあがっていた。、三人の境遇を知り能力を惜しんだ村井は、才能ある労働者が再出発できるよう考え、名古屋市に災害救助専属組織をつくるよう提案する。それに強く共感した市長と大隅議員は議会を説得。職にありつけない有能な者を市職員として採用することになった。 折しも台湾で発生した大地震の救援に真っ先に赴いた彼らは、職人ならではの能力を発揮。支援を無事に成し遂げる。 そして、新卒でありながら就職できない地域から高校生を受け入れ、次の世代を育て始める。やがて台湾で救出した娘を迎え、あわただしい毎日を送る中で、村井は吉村課長と共に職員の家庭を再建するよう努力し、佐竹や近藤の家族を修復した。そして、家族を亡くした吉村に、宮内を養女に迎えるよう薦める。 新たな職員を迎え、佐竹は現在の自分を心の底で誇りに感じ、皆とともに明日を紡ぐことを決心する。

更新:2013/11/20

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作:齋藤 一明

茗荷のように

「明日を紡ぐ」の続編ともいうべき社会派小説。 名古屋で災害救助組織を設立する推進役だった市長、大隅議員、村井由蔵は、DV被害者救済の手始めとして山口県の山間部に建つ無住の農家を買い取りDVシェルターとした。そこで生活させている女性たちは、不自由な過疎地での生活と自然に抱かれた環境により徐々に自分を取り戻し始め、近くの営業をやめて久しい国民宿舎を使えないかと考えるようになった。そこにDV被害者を呼び寄せ、社会復帰の手伝いをしたいと役場に申し出、それを機に村井たちの活動が始まる。 一人の女性を山口に連れて行くことになった時、広島の警察副署長である青木と救援課の結城亜矢も同行する。 現地で山を調べていた亜矢は、梅や桃、栗などの木をみつけ、見分け方を教える。 そして、マムシを退治してみせ、ワサビを見つける。亜矢とともに山に分け入った美鈴は亜矢に好意を抱く。 村井は、仲間に加わった二名の新人議員と鰻屋の大将を現地に案内し、収入確保の方策を探る。 現地で柚子をみつけた大将は、柚子こしょうを製造販売することを提案。実際に作ってみせる。 翌日、地震が発生し、長雨で緩んでいた裏山が崩れて民家がおしつぶされる。 村井の一報で救援課が出動。宮内が指揮をとり生き埋めになった人を救出する。シェルターの女性たちは山中に避難。亜矢が救助犬とともに闇夜の山中に分け入る。 犬の働きで女性たちを発見した亜矢は、斜面を滑り落ちた女性を救出。火を絶やさぬよう徹夜で見守り、夜明けとともに負傷した女性を背負って下山した。無心に働く亜矢は、女性たちの絶大な信頼を得ることになった。 亜矢のひたむきさに勇気を得た加奈は、離婚を決意。村井に援助を求める。 村井は警察に相談し、刑事事件として裁くよう求め、平行して施設購入と専門支援組織発足が議会で承認される。 施設に新たな女性を案内することになり、専従職員と元警察官の岩田を亜矢が案内するが、職員は女性たちに杓子定規な態度をとり反発される。 輪から外れた職員の行く手に蛇がいることに気付いた亜矢は、屋根より高い枝からロープで滑り降り、難を救う。 助けてもらったのに素直になれない職員を女性たちは哀れむ。 そして、名古屋に戻る一行を見送る女性たちは、見違えるほど逞しくなっていた。

更新:2013/11/24

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