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作者:伊藤暗号

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作:伊藤暗号

ダンジョンでぼったくり商人はじめました

プロローグ 「ポーション類の在庫、大丈夫ですか?」  棚の、ずいぶんと隙間のあるガラス瓶の並びのバランスを、神経質に整えて「そろそろ作りはじめないと足りないのでは?」と、リュコスは素材採取を促す。  切羽詰まってから出かけるとなると、また店をに任せっきりにすることになるかもしれない。 「あぁ〜麻痺解除薬〜どうしても行かなきゃダメ〜?」  店頭のカウンターにダラリと腕を投げだし突っ伏していた目の前に、カラのガラス瓶が並ぶ木箱を ガチャリ と置いて現実を突きつけると、リュコスは作業場に戻って行った。  状態異常の麻痺解除薬の調剤には、どうしても同じダンジョンの麻痺蛭の体液が必要で、どうしても沼地フィールドに行かなければならない。  誰もがイメージする通り、蛭はかわいくないし、沼地はジメジメして臭いし、ブーツは汚れるし、臭いし、行きたくない。  ついでに、ソレが経口接種薬って現実からも目を逸らしたい。 「やっぱり素材持ってきてくれた冒険者にだけ売る事にしよっか?」 「俺は最初からそう言ってました」  返ってきた軽口に、むう と口をとがらせる。 「・・・お互いだいぶ人間らしくなってきましたなぁ」  ダンジョンのセーフルームの壁をくりぬいて造った「雑貨屋ぼったくり」のカウンターで、リコは、この世界に拉致られた時のことを思い出していた。

更新:2024/5/17

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