東の皇国ミルト、南西の王国グラスフィールドと境界を接し、周囲から不可侵の森として周知される広大な樹海。 ――通称、魔の森。 そこが古き魔女の住処だといつからか噂されるようになって数百年が経った。 古き魔女は偏屈であり、その姿は絶世の美女とも、醜悪な老婆とも、はたまた魔獣の主ともされているが、真実の姿は誰も知らない。 とは言え、真実と実しやかに囁かれる事柄が一つ。 『魔女は大いなる代償を差し出す者に対してのみ、その願いを叶えることがある』と。 密やかに、けれども脈々と語られるその言い伝えは、国の境も関係なく多くの者の知るところであった。 一人の竜騎士が、森で一人の少女と出会うことから始まる物語。言ってしまえばそれだけのお話。
更新:2017/1/7
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