その年のクリスマスは、嵐になった。 激しい嵐の中、それでも山奥のペンションには五人の客が集まる。偏屈な老人、破局寸前の恋人、カップルアレルギーの女性、常識のない大学生。無駄に個性豊かな彼らが一堂に会する夕餉の場で、テレビのニュースが一つの事件を告げた。ペンションすぐ近くの橋から車が増水した川に転落したと思われる痕跡が見つかったそうだ。目撃証言や行方不明者の情報を募るそのニュースを見て、一人の客が言う。 「この中の誰か――もう、死んでたりして」 かくて聖夜、「誰が死んでいるか」を決める珍妙で不毛な会合が開かれるのだった……
更新:2016/12/3
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