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それでも、嫌いになれない。

手に残るネクタイと青春の清算

”惰性的に生きる”男が学生時代の想い人のことを回顧し、自分とどんどん差が開いていった彼に対して青春の決算をつける行動をする話。よかったです。まず、文章から。文章は一文一文丹念に書かれていることが分かるものです。言ってしまえば人工の美なのですが、この作品の場合は鼻につくものではなく、書き手の若さを含めて味として読めるものでした。感動したのは、文章を凝っていてもなお失われないリズムのよさで、これから先も文章にこだわって書かれることと思いますが、リズムのよさは保ち続けてほしいと願わずにはいられません。 同性愛の位置づけは若干気にならないではありませんが、そもそも私がBLを書いていても男性同士であることをほぼ全くと言っていいほど障壁として書かないラディカルな原理主義者なので、私が過敏なのかもしれません。 ネクタイの使い方がうまいですね。学生時代の青春を回想させるきっかけ。仕事を辞めた自分にはもう結び方すら分からない、彼との違いを象徴するもの。そして無意識に買ったけれどデザインは彼が学生時代につけていたものと同じもの。つまり微かに残る繋がりの残滓。 最後の一文もとても素敵でした。どうしよう、べた褒めだな……。 自己嫌悪系主人公の話ってともすれば物語に起伏が無くなったり食傷してしまったりするのですけど、この小説の場合最後にアクションを取るので、そのあたりの問題を感じずに読み終わりました。一読者の思いを述べるならば、一種”硬い”ところが今のミヤシタさんのよさである一方で、より柔軟な作品も読んでみたいという欲張りな気持ちがあります。 ミヤシタさんの作品をもっと読みたくなる一作でした。

5.0
0
辰井圭斗

ひとつだけの本

それが夢物語であっても

代書屋としてひたすら人のために文章を書いていたおじいさんが、猫のすすめに従って初めて自分の人生を綴り、自らの心を拾い上げるというすごくきれいな話を童話風に書いた物語。”すごくきれいな話を童話風に書いた”というところがミソで、これを現代ドラマで書いていたら多分読み味が全然違ってしまっていたと思うのです。私などは心清らかでないので「自分の人生を書く人間なんかごまんといるのだから、話はそこからですよ」なんて余計な茶々を同じストーリーラインでも現代ドラマだったら入れてしまいたくなります。でも童話だから割とすんなり読めてしまう。 カクヨムが出してきた「私と読者と仲間たち」なんて趣味がよいとは言えないテーマを、「リアル」からほどよく距離を取ることによって書いてみせた品のいい作品です。 黒猫のシピも役割としては似ているように思えます。もし、シピが人間だったら、自分の生き方に満足している人間にわざわざ自分のための文章を書かせるというある種のお節介さが気になりかねないのですが、猫なので。 正直創作がきれいごとばかりでは済まないというのは百も承知で書かれていると思います。でも、こういう場面はあり得るし、その物語だってあっていい。厭味なく、一つのきれいな方向に専念された物語として拝読しました。

5.0
0
辰井圭斗

フレンチクルーラー・ミニマル・ゲリオン

物語や読者の要請を超えて語り手にとって大事なもの

表面的には、小汚いおっさんにナンパされた男子高専生が、その体験を思いを寄せてくる妻子持ちの中途半端な関係の男性に喋ってしまう話。 この話、アンダーグラウンドを切り口に読むことはできて、講評を書くんだったらそうするべきなのかもしれないですが、あまりそうしたくないなと思うのです。もちろんそういう読み方を否定するつもりは無いですし、読み方は沢山あっていいと思いますが、この作品に関してはお題にきれいに収束していかないところを大事にしたい気分です。 まず作品を読む前に、タグの連なりを見て”私小説”の3文字に少しく動揺しました。私小説だからと言って、別に作者の経験をそのまま書いているとは限らないですけど。キャプションには”私小説風”とさらにぼかして書いてありますし。そうして動揺していると、「前置き、あるいは言い訳」でこれ以上ないくらい美しいかたちで釘を刺される。本文でも、”その先の記憶といまいち噛み合わないから”など、「信頼できない語り手」感が出ている。それを見て、私小説の設定としてなんて上手いんだろうと感嘆しました。うん、多分この感覚は感嘆です。 少なくとも現代の商業小説の世界だと、私小説って必ずしも歓迎されない(らしい)のですよね。結局私小説は「Look at me」の連なりに陥りがちなので、それに食傷されやすい。でもこの小説の場合、その「Look at me」がすごく希薄というか、作者の自己愛が透けて見えないんです。私小説を書いたことがある身としては、すごいなと思いつつ心の痛い部分でした。 「草食アングラ森小説賞」の講評で、謎のイートハーブさんが「いつものイサキさんじゃない」とメモしたと仰って、謎の白猫さんが”明らかにテンポが違う”と書いてらっしゃるのですが、私もいつもとは違うなと思いました。『ファイナル・デッド山本ピュアブラック純米吟醸』、『アリス・イン・ザ・金閣炎上』、『理解のある彼くん vs おもしれー女 ニュートン無様敗北編』のような強烈な推進力のある作品とは異なっているように感じます。それで、何か考えているうちに、初読では”余剰”かなと。”余剰”ではあっても、決して”余計”ではないのですが、話を一つの方向にストレートに推進させていくのではないものが散りばめられているように見えたのです。2回読むと、「ああこれは必要だったな」と初読ほど余剰を感じなかったのですが。とはいえ、物語の、或いは読者の要請を超えて語り手にとって大事な要素に満ちているのが私小説らしさだなという感想を持ちました。 冷静に考えてみると、そんな事実は全く無いにも関わらず、「あるある」と思わせられてしまうあたり、私が読んだ限りの和田島さんらしさを感じるところでした。Mさんの話とか。そっちに踏み込むと自分語りをしてしまいそうなので控えますが。単に構造やテーマの分析をすると、大事なニュアンスを取りこぼしてしまいかねない作品。昨晩講評書けなかったので寝たら、夢で講評書いてました。こんなに講評を書くのが難しい作品は初めてですよ。でも、読めてよかったです。和田島さんの作品の中で一番好きかも。

5.0
1
辰井圭斗

ノクターン

弾き続ける彼女と彼の物語

好きな子に憑いている男と好きな子が大いなるものに裏切られながらある瞬間に辿り着く話。のっけからびっくりしました。個人的な事情で割と感傷的な気分で開いたんですが、リセット! 冒頭、韻は踏んでないけどラップか? というくらいリズム感に溢れた文章。歌えてしまいます。すげぇ……こんなの書けないよ……と思っているとストーリーライン”は”また驚くくらい正統派の泣かせに入って、最後、それはずるいでしょう、と。 ストーリーライン”は”と言いましたが、主人公を含めたバランスがいいんですよね。この話、いくらでもシリアスに泣かせに持って行ける話なんですが、主人公がそれに歯止めをかけてくれる。うわ、これは深刻だというところで、彼が”体があったらわんわん泣き出していただろうし”と読者よりオーバーな感情を出してくれる。だからシリアスになりきらない。すごく品がいい。思えば作品全体から見れば冒頭の半ばラップのような一段もバランスを保ってくれる部分です。 だけどその一方でやはりストーリーラインは容赦ない。彼は人間の手の及ばない大いなるものに裏切られて死んだし、彼の死後、彼女は時間に裏切られ続ける。そしてそれはどうしようもない。けれど、どうしようもないなか立ち続ける人たちの物語ですね。 最後は裏切り続けた時間が微笑んだと解釈することもできるけど、それよりは彼と彼女の戦いの果ての結末だと思いたいのです。寝込んだり、墓参りに行ったり、ピアノを弾いたり、それをただ見ていたり、表面上やっているのはそういうことだけど、その内側には激しい戦いがある。 読み返してみても文字の表面上は決して激しないのに、私の感想は「めちゃくちゃかっこよかった」に尽きます。

5.0
0
辰井圭斗

シャグシャグ

このジャンルで譲れない一線

雑多な稼業をする龍之介とカーマーン、そしてダークウェブに名を馳せるシャグシャグという2人組の話。最初、特に第1話よく分からないなと思いながら読んだんです。ラブホ部屋を掃除していると思われるのに周囲の描写がほとんどなく、ティッシュしか出てこなかったり、龍之介の身体にはどうも秘密があるようだったり、加えて龍之介とカーマーンの外見描写はほとんど無かったり。でもそのよく分からなさは本作の場合長所だと思いました。「草食アングラ森小説賞」の講評を読んでからこれを書いているのですが、私は龍之介の正体をミスリードしているのはアリだと思っています。よく分からなかったり、思っていたのと違うのはこの題材に付きまとう性質なのです。アンダーグラウンドは(少なくとも私のようなパンピーにとっては)分からないものなのですから。 登場人物は必ずしも肯定できる人物ではありません。特に龍之介とコンビを組んでいるカーマーンは”行き当たりばったりの阿呆”です(それにしても龍之介の「お前最悪だよ」には肝が冷えますが)。でもそういうやつと組むのが人生であったりします。シャグシャグの活動も”ムカつく誰かをあそび半分で痛めつける”ものであり、カタルシスはあるものの「痛快」と言い切ることは躊躇われるバランスです。でも本当にシャグシャグの活動があるとしたら、それはきっと「痛快」ではあり得ない。こう言うとお嫌かもしれませんが、作品の背後に作者のモラルを感じました。 細かいところを言うと、”その喜びはさながら四半世紀ぶりに息子に再会した母親のようだ”など直喩が印象的で。今の時代直喩ってともすればダサいと言われがちなんですけど、この作品の場合パワフルで鮮やか。こんな書き方があるのかと書き手としていい意味でため息が漏れてしまいました。 様々な点で大変バランスが練られた作品に思えました。

5.0
1
辰井圭斗

この連休は、実家近くに泊まりに行こう

「何か起こったといえば起こった」を支える緻密な日常

急に仕事を辞めた親友を訪ねに地元の宿に泊まりにいくのだが……? という話。まず文章の巧さに呆気にとられました。巧い。これはもう言われ慣れていらっしゃるかもしれませんが。 とりわけ、へばりつくシャツの不快感など身体性を伴った緻密な描写が印象的でした。あとは茶菓子の袋のビニールが伸びて、結局口で破くところなど、分かる分かるという部分でもあり、細かさに驚く部分でもあり。こうした緻密な日常描写が本作の核であるのは確かなところかなと思います。 タグにあるように、本作は”微怪異もの”。何か起こったといえば起こったけれど、くらいの微妙なバランスの作品です。その微妙なバランスを支えるために前提となる日常が異様な細かさで書かれているのは作品が要請するところでしょう。 日常描写で全く退屈させないのもすごいところです。最初、電車での目覚めも鮮やかですし、何より全編を通して日常が続いている筈なのにどこか不穏で目を離すことができませんでした。実際の目的である親友に会うところまでがかなり長いですが、その長さすらも不穏です。地図アプリではなく地図を実際に取り出したり、スマホではなく”携帯端末”と書いていたりするなど、時代をぼかしているのは怪異ものとして意図的なところなのかなと思いながら読みました。 巧みさに魅入られ感嘆し通しの作品でした。

5.0
0
辰井圭斗

ストロベリーポップキャンディー。

あの時二人が辿り着いた景色

どう講評を書いたものか戸惑っています。凄まじい出来の作品でした。“僕”とある瞬間を除いて嘘の仮面を被っていたクラスメイトの物語。  最初のひとかたまり。文章の意味を掴みかねて、けれどもこれは失敗してそうなっているのではなく、意図的なコントロールされたものだなと感じて、どうもすごいものを読んでいるんじゃないかという予感がひしひしとしました。  土砂降りの外とクーラーの効いた教室、或いは静かな図書館。嵐の下とそうでない場所。舞台設定的にも対照的で、だからこそ両者で展開される場面が際立っています。 「ふう」という嘘の仮面を被り続ける十時楓を“僕”こと五十嵐晴は「とときかえで」としか見ない。その“僕”のスタンスは“僕”と仮面を被った母親との葛藤から来るものだととれます。タイプは違うけれども同じく呪いを孕んだ親を持つ楓と“僕”は対照的な道を歩みつつ、けれど根本のところで“ほんとう”に対する「切なさ」にも似た感情は共有しているように見えました。  楓が「ふう」として父親に何を求められていたかを考えると重苦しい気分になります。「――風と木って、似てるよね?」という言葉も読んでいてつらいです。「もっと愛してもらいたいなぁ」と言っているあたり、必ずしも嫌々ではないように見えますが、でもやっぱり彼女は泣いてしまう。嘘でいいからと、とときかえでとして友だちになってと頼む。それに対して“僕”は――。入り交じる嘘とほんとうが、そして青春のひと時を本当に刹那共に過ごした二人の在り方が複雑であり、心をかき乱されるものでした。  冒頭の“黒っぽい空と海の境界線が曖昧になっていってすっかり同化してしまっている”のとは対照的な最後の“空と海の境界が分からないほど鮮やかな青”。あの時見えた景色。楓はああいうことになるのに、この瞬間を切り取った最後は二人が行き着いた先を示していて爽やかで、すごい終わらせ方だなと思いました。  これは講評ではなく感想ですね。読めて本当によかったです。

5.0
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辰井圭斗

ホログラムと少年

幻像と滅び

 廃墟となった世界に住まう少年アンドロイドと幻像の物語。途中引用されるイェーツの詩がこの小説を読み解くヒントを与えてくれたように思いました(この詩から発想したのかなと思うくらいに)。とはいえ、本作を読めている自信はあまり無いので、これから延々と妄想を語るかもしれません。  最初の方で見事だなと思いました。風が吹いて崩れ去ったビルからガラスの破片が落ちるところ。これでもう人類が滅びていることが十二分に描写されています。全体的にいい意味で色彩の薄い世界で、それが美しいです。  少年が好きなものは滅びを感じさせるもので、今回の戦利品の玩具はビー玉で、これは壊れやすいガラス玉。そして塒を移す時は集めた玩具を持って行かない。熊も、好きになったそもそものきっかけはエイン博士の言葉だったけれども、恋をして逢瀬に出かけているのはホログラムの熊で、しかものどかなそれではなく三毛別羆事件の、人間の団欒を滅ぼした熊。少年が動く先には透き通るような滅びが見えます。  少年が行く場所には人類がまだ生き残っていた時から残していた幻像があります。九龍城のレプリカたる集合住宅も過去の再現というその試みからして一種の幻像ですし、それこそホログラムも幻像。エイン博士も人類も今となっては全て幻像。というより、人類は生きていた時から(一応実体はあるわけですけど)幻像だった気がします。でも幻像を愛し、(たとえそれが既に滅びていたとしても)その先を愛することもできて。  滅びた世界を書くと、自然とそれとは対照的に思える生きていた頃の人間の営みであったり、痕跡であったりを書いてしまうものですが、本作の場合生きていた人間の名残が温度を伴うものではなく幻像として立ち現れています。それが本作の独特の雰囲気を作ってもいて、引き込まれました。  言葉遣いだとかデティールに踏み込んでいるときりがありません。素晴らしかったです。読ませてくださりありがとうございました。

5.0
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辰井圭斗

花と罪悪

あまりに鮮やかなその世界で

 素晴らしかったです。花を使った自慰というよりは、花との性行為と罪悪の物語。  冒頭から息を呑みました。世界の解像度が高かったので。読者に情景を喚起する力が強いと思います。展開されるのは落ち着いた、けれどもどこかカラフルな世界。これはすごいものを読んでいるなとこの段階で思いました。  花屋の“彼女”と「あれ、いい雰囲気なのか?」と思わせられるのは振りで、帰宅後露わになる彼が本当に愛するものと彼の愛の有り様を際立たせるものになっています。別に“彼女”のような人間と関わることもできる人だけれども、彼が愛するのは、愛さざるを得ないのは違うものなのだと。物語の序盤に自然なかたちで“彼女”を対置しておくのは本当に上手いと思います。  植物を通して語られる父母の物語もごく短い淡々としたものであるのに、確かなドラマを感じて。“僕が大学生になり家を出た頃から、実家には花が飾られなくなった”のあたりに出てくる感情の動きは胸に迫るものがありました。  帰宅後の花との性描写はただ見入ってしまうというか。見てはいけないものを見ているという感覚はあるのですけど、目を離せませんでした。愛しながら大切にしながらも、「ごめんね。でもきみが魅力的だから」と傷つけるようなこともして激しく愛していく。彼の目を通して描写される花は確かにあまりに煽情的で「こうなるのはもう仕方がない」と思わせられてしまいます。自慰描写はどれだけ生々しいものがくるだろうかとちょっと恐々読んでいたんですが、かなり抑制されていて、けれども彼の火照る身体の熱や弾む息遣いまで分かるような、そんな描写でした。圧巻とはこのことだと思いました。  そして彼の性的倒錯の由来と性交後のタケシマユリの処理。自身への嫌悪感。全体に「上品だ」と言いたいところですが、「上品だ」という言葉すらこの小説に対しては品が無いように思えるのです。やはり、落ち着いた、けれどもどこかカラフルな世界、それを見る目を通して語られる小説。この作品を読めて本当によかったです。

5.0
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辰井圭斗

ケンちゃんと悪くない魔女?

良かったねえ、少年――私が悪い魔女じゃなくて

 キャプションの時点で好きです。実は以前(神ひな川がまだ開催されていた時?)に読んでいて、その時の感想は和田島さんと大体一緒でした。  まず小学生目線の物語をきちんと小学生目線の話として書いていることに驚嘆せざるを得ません。かなり難易度の高いことを見事になさっていると思います。決して派手なことが起こる話ではない、どちらかといえばかなり地味な話ですけど、この小学生目線への入り込みがすでに娯楽要素として機能していてそれ自体スリリングです。これはずるい。 “魔女”も絶妙なバランスで。読者には「ああ、本当は魔女ではないのだろうな」と思わせる言動をとりますが、でも全くそのことで失望させないというか、だってこの日少年である彼らにとって彼女は紛れもなく魔女ですし、読み手としても「もしかして、ひょっとして」と思う余地があって、魔法を使わない彼女に魅せられてしまっているんです。それってもう魔法のようで。個人的に今こういうのに滅茶苦茶弱いので、もう胸の辺りが大変なことになっています。  と、いうのを思い出しながら書きました。もう一回読みます…………  改めて読むとカタカナの使い方が上手いですね。子ども言葉にすると普通漢字にするところを平仮名にせざるを得ず読みやすさを損なったりするんですけど、要所要所でカタカナにすることで読みやすいし、小学生男子感が出ています。細かいところですけどすごい。 “ 魔女は、みんなが顔を出して様子をうかがっている大イチョウ木の方をちらりと見て言った。三人があわてて首をひっこめるのが見える”。ありがちな動きですが、動きの描写というよりカメラの動かし方がうまいです。ここでカメラを一旦外に動かすことで動きのない息苦しさみたいなものを感じさせないようにしています。  会話。これだけ長い会話、しかも一方、つまり“魔女”の方がかなり喋るものを捌くのは難しいはずですが、書き手の苦しさを感じさせません。こうやってデティールを挙げるときりがありません。  最後もそのよさをうまく言語化できないんですがいいなあと思いました。もう一回読めてよかったです。読ませてくださりありがとうございました。

5.0
1
辰井圭斗

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