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ジャンル:歴史・時代

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淡海乃海 水面が揺れる時

弱小国人領主から大名へ、乱世を生き抜く大河物語

 歴史好きの現代人が戦国時代へと逆行転生。吹けば飛ぶような弱小国人領主、朽木元綱として戦乱の世を生き抜いていく物語です。  チートと呼べるものは歴史知識のみ。それも自分の領地を豊かに大きくしようとするうちに、バタフライエフェクト的に本来の歴史から乖離していき、世界は独自の道を進んでいくこととなります。  それでも時代の英傑たちと時に手を組み、ときに矛を交え、やがて一廉の大名へ。そしてその差に先へと立身出世していく主人公の姿に、気づけばすっかりと魅了されていることに気づくでしょう。  魅力的なのは主人公だけではありません。  かの三英傑や、今にも名を残す名だたる武将たち。現代ではマイナーとされる人物や、彼らを支え寄り添う女性たち。あるいは公家や商人といった戦いには関わらない人々までも。彼ら脇を固める人物たちにもまた人生という名の物語が用意され、その生き様というものを魅せつけてきます。  彼らと主人公の出会いと別れ、その生き様と散り様。それもまたこの作品の大きな魅力でしょう。  総じて完成度が高く、歴史物が好きな方も納得できる、そうでない方も十二分に楽しめる、掛け値なしにおすすめできる一作です。  是非にご一読し、朽木"基"綱の人生を追いかけてみてはいかがでしょうか。  ところで、ただ一点のみ苦言を呈するならば、作品もそろそろ大詰めを迎えようとしているのにもかかわらず、「もしも主人公が公家として生きていたら?」というifストーリーの執筆に入ってしまっていることでしょう。そのため、本編の更新が長らく止まってしまっています。  この異伝もまたとても面白く読めるものなのですが、それでも本編の続きを早く読みたいと思ってしまうのは仕方がないことでしょう……。  ちなみに、本編と異伝ともに書籍化とコミカライズがなされています。小説書籍は相当の加筆がなされさらなる彩りが加えられており、またコミカライズはむさ苦しいおっさん共の生き生きとした様が格好良く描かれ、これらもとてもおすすめの一品となっております。

5.0
1
pakira

カリオテの男

太宰治の「駆け込み訴へ」を高解像度にした印象、かつそれ以上の満足感

流麗な文章で読みやすく、とても素晴らしかったです。 太宰治の「駆け込み訴へ」を高解像度にしたような感じを受けつつ、「駈込み訴え」では得られなかった満足を感じています。 (もちろん、描かれるユダ像というのは違うわけで、それの好みというのもあるかもしれませんが) おそらくですが、太宰の「駆け込み訴へ」は、ユダを視点にしながらあくまで人間の情を描いているのに対し、この「カリオテの男」は、ユダの情を表現しつつ、「それらを回収していく、壮大な歴史と神のわざ」を思わせるという点が違うのだと思います。そして、それが私にとっては非常に好ましいのだと。 太宰の「駆け込み訴へ」は、太宰が当時寄せていた政治運動への想いを重ねて描いている…と言う批評を読んだことがあった気がします。だとしたらやはり太宰の「駆け込み訴へ」の読み方は、これをもってして聖書や周辺の歴史を再解釈する、といった営みのための文学ではないのだろうな…と思います。 多くの文学は「それが書かれた時代背景を学ぶ」ために(も)読まれると認識していますが、「駆け込み訴へ」もそういった読み方をするか、あるいは、多くの二次創作の如く人物の感情にフォーカスして抽出して楽しむ、といった読み方をするか(←というか、文学史的に考えると、これは「告白」という文学形式を太宰がやってみたかったから書いた作品なのではないか?と仮説を持っていますが、浅学の思いつきを出ません…) という感じなのに対して、「カリオテの男」は、人物の感情を楽しむこともできるし、「聖書」という大きな存在感の書物への理解促進にもつながるので…なんというか、現代の日本というこのタイミングにおいて「駆け込み訴へ」よりも文学的価値が高いのでは…………???とすら思えます。 とにかく、「カリオテの男」は、文学作品的にも優れているし、二次創作としても質が高くて、とてもすばらしかったと思います。(原作の情報が十分に踏まえられていて、「伝統をどこまで伸ばせるか」と挑戦的であるような、かつ原作では描かれなかった部分にリアリティをもって踏み込んでいる、という方向性が好きなのです) 聖書やキリスト教についての前知識がどれくらいないと読むのがつらいのか…についてはわかりかねるのですが、解説編も用意してくださっているので(→https://kakuyomu.jp/works/1177354054892650173) これを読みながら進めるとイケるんじゃないかと思いました。

5.0
0
藤原えりこ

鵺 (第八稿)

禅とは

 鵺という妖怪は見る人により形を変えるというのはわりと有名になってきた伝説なのかなと思いますが、なるほど。  私はこの物語を読みながら「即身成仏」という教えがぱんっと頭に思い浮かんだ。これもさぞ気が狂いそうになるのではないかと私は思っている。  禅の問答とは、という点と、敵対する「妖怪」という概念の絡め方が非常に秀逸。読んですぐ「なるほど」と一人で呟いてしまった。  頗る上手い。第八稿ということですが果敢に挑戦されたのですね。確かにそうだ、禅問答のような。あれには答えなど実質無い、だから「無」であり(気になった方は般若心経をついでに読解していただければ)返答はやはり自分に戻ってくる、これを坊主は「悟」と呼ぶのだろうとして……いやぁ、語るのは野暮だ。是非読み解いて頂きたいところです。  文体的にはどうだろう「ハードボイルド文体」に分類されるのかな(ちょっと純文好きでないとピンと来ないかしら。かっこいいおじさんが~ていうあれじゃないです。説明難しいのでググってください)。なので、淡と読みやすいです。だからこその深みを生む文体の使い方。本当に上手い。  純文学好きな方は是非。短編ですが読みごたえありです。

5.0
0
詩木燕二

最近の「いいね!」

小説家になろう恋愛書籍化コミカライズ連載:67話

ガリ勉地味萌え令嬢は、俺様王子などお呼びでない

人は見た目じゃない

第一部は俺様王子編。 傲慢俺様なイケメン王子が『良い』と思えるのは、ヒロインが王子のことを好きになることが前提かつ、ヒロインとのふれあいで傲慢で俺様なだけではない王子の奥底にある良さ等が見えてくるからであって。 ヒロインに好きな人がいて王子のことはこれっぽっちも好きではない場合、権力と自身の魔法の力に物を言わせて人の話を聞こうともせず迫ってくるような俺様っプリは、『キュン』とするどころか『ただただ壮絶に面倒くさい』としか思えないんだな……と乙女ゲーマーとして目から鱗が落ちる思いがした。この手のタイプは乙女ゲではわりとメイン攻略対象として存在するので……前提と視点が違うとここまで意味合いが変わってくるのか……と。 王子の言動と彼自身が迷惑でしかないヒロインと、王子に憧れているヒロインの友人との会話での分かりやすい見え方の違いにめちゃめちゃ納得した。 第二部は俺様王子の弟の腹黒王子編。 第一部は学園内でことが収まっていたけれど、第二部はガッツリ王家が絡んできてヤバさが一段とアップ。 人の話を聞かない第一王子の次は、やはり人の話を聞かない第二王子に王妃と、この国の行く末が非常に不安になる。 が、番外編で第三王子が登場し、なんとかなるのではないかと一息つける。 物語全体を通して会話のテンポがよいので読み進めやすく、最初から最後まで一気に楽しく読めた。 いつも全力で好きを押し出すシャリーナと、困惑しながらも段々惹かれていくリオルの二人が可愛い、物凄く可愛い。 見た目は地味なガリ勉少年で、しかも魔法が使えないという欠点があるけれど、シャリーナの為に己が頭脳と持てる力を全力で使って戦うリオルは本当にカッコイイ。

小説家になろう恋愛連載:30話完結

薬師の魔女ですが、なぜか副業で離婚代行しています

恋愛ジャンルになっているが、他者の恋愛に絡んだことを仕事としている物語でヒーローとヒロインの間に恋愛は始まっていない(今後もしかしたら始まるかもしれない? というような匂わせ雰囲気で終わっている)ので、ジャンルタグつけが間違ってる訳ではないが求めていたものとは違う……という複雑な読了感だった。 物語自体はさくさくとテンポよく読めて悪くなかったので、恋愛ではなくファンタジータグであれば気持ちすっきり終えられたのになあ……と思った。

小説家になろうヒューマンドラマ連載:88話完結

目的は生き延びること

展開は重めだが、『物語』として面白くて一気に読み終えた。 最終的にヒロインに想いを寄せる相手が、半分血のつながりのある義弟と、そうとは意図しないままヒロインを追い込んで、心と体に傷を負わせる原因を作った婚約者の王子の2人なのが、ああーーー……という気持ちに。 恋愛ものではないので、二人とヒロインがどうなるかは描写されないまま終わるが、個人的には義弟派。