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在りし日のかけら

髪を切るという行為に三つの人生が交差する

本作品は人間はいつからでもやり直せるというメッセージが込められた、短いけれど心に訴えかけてくるヒューマンドラマだ。  高校生のとき、人生に無関心で享楽的な生活を送って補導されてばかりいた沙紀が、エクステに使われている原料の調達先と、その提供者について知ったときの衝撃。 あのけばけばしい色のエクステがまさか人の髪だったとは。 しかし提供者は教育を受けられるということで満足しているのだ。 沙紀は、中流に生まれ不自由がないのに自堕落な生活を続けている自分に気づき、やり直しを決意する。  ところで恥ずかしながらエクステに使われる髪はナイロンなどの化学繊維だとばかり思っていた。もちろんつけたいと思ったことはないのだが、つけている人たちはおそらくこの事実と提供者の事実を知らないだろう。 そして美容師三年目となった沙紀のお客様はよく手入れされた髪をドネーションのために切るという。 貧困のなかで髪をうって教育を得ようとする女の子。 中流のなかで自堕落に生きている女の子。 裕福な暮らしで、自分の髪を与える女性。 この三つが美容室の鏡の中で交差するのが見えたような気がした。  もちろん髪を売ることができなくなれば、女の子たちは教科書を買えなくなるし、髪を寄付する行為によって治療のつらさの一端が軽減されるのだから、軽々に何が悪い、これが悪い、金持ちは奢っているという単純な話ではない。  しかし一度、今、あたりまえに享受している生活と幸福について思いを巡らせてみることは必要だ。

5.0
0
しのき美緒@BEKKO BOOKS

そもそも、こいつらは一体なんだったんだ?

 最初は痛快というか、「んメタモルフォーゼ…」だとか「メンチカツ…」だとかに大爆笑をしていて、コメディ、そうなんだよなこの作者様、かなりユニークなんだよなと、リスペクト一言紹介レビューをサイトに(こちらサイトさん、現在ではその機能は“リスト”になっています)書いたのですが、この度ふらっと再読してみました。  というのも当時、面白っ!の中に何か引っ掛かったものがあり、一言でまとめるのがちょっと…と、「コメディ」に分類されていたのでそっち推しで書いたのですね。  その後優秀賞を頂いたようで、おめでとう!とまずはこちらにて。  そもそも引き出しの多い作者様なのでこの言い知れなさは果たしてなんだろうか、これを期に読み返しふと浮かびました。  この羊、一体なんなんだ?と。  夢かと思ったり、いや、やっぱり寝る前の“一日総括か”と思ったりもしましたが、考えてみたらこの羊、ずっといるんだよなぁ。 「犯人はお前だ!」もある。あれ、実はこれコメディじゃないんじゃないかと…色々な先があるなと思い、なるほど、それで「コメディ紹介ではなんかもにょもにょする自分がいたのか」と、ついさっき新たに気付きました。  3,000時ほどでサクッと読めますので、何読か回ってみていただきたい作品。ぐるぐる、不眠の時なんかに…(笑)

5.0
0
詩木燕二

Thinking of you

舞子とケイティの物語

ヒロインの舞子は脚本家。勉強をし直すために、ひとりロンドンに来ている。 好きな男性も脚本家。しかも成功を手に収めている。そのひとと同等でありたい、自分を対等と認めさせたい、実績を作りたいと肩ひじ張って頑張ってしまう舞子が痛々しい。 ルームメイトのケイティは励まそうとするが、その親切すらおせっかいだと切り捨ててしまう。 ケイティのほうはわが道を行くスタイル。焦って実績を求めようとはしていない。それがまた舞子には癇に障ってかなりとげとげしい。 そのとげとげしさが感情的で当たり散らして発散されるのであればまだしも、脚本家という性質上、なんでも分析してしまって――自分の行動に隠れた心理とか、あざとさとか――どんどん身動きが取れなくなっていく。 孤独に苛まれていく。めんどくさいひと、舞子。 けれど根気強く舞子を励ますケイティのおかげで舞子は立ち直り、舞子の明るい未来が(少なくとも恋愛においては)暗示される。 ところで、表向きは舞子の物語なのだが、本編の隠れた主役はケイティである。嫌がられていることくらいはわかっているだろうが、舞子を慰めようと声をかけ、外に連れ出し、恋を応援する。この寛容さはお国柄の違いによるものなのか人柄なのかははっきりとはわからないが、彼女の存在が始終、暗くなりがちな作品を明るく照らし、ほっとさせてくれる。 美しいロンドンのクリスマスの光景と、ホットワイン、それによって次第に舞子のかたくなな気持ちが溶けていく場面は静かで美しい。

5.0
0
しのき美緒@BEKKO BOOKS

星集めの絵

ケンタウルス、露をふらせ

 夜空、星空といえば、とにかく私は宮沢賢治の作品に描かれる黒か濃紺のイメージを持っているのだけれど、「星集めの絵」がそういう背景だと描写されていて妙に納得してしまった。  だが同じ心象映像を想起させるのに、宮沢賢治と夏木さんでは作品から受けるイメージが大きく違う。前者はいつまで経っても夜のままでひんやりとした世界であり、夏木さんの作品はラストで陽の光の眩しさ、温かさの中へと場面転換していくからだ。  たしかに「星集めの絵」では人の死、という究極的に暗いテーマは取り上げられていない。だが主人公が役立たずな魔法しか持っていないことや、その能力ゆえに両親を苦しめてしまったトラウマ、ステラが間もなく失明するであろうことなど、十分に暗くて重いテーマを内包している。  宮澤賢治の作品の多く、たとえば「銀河鉄道の夜」は確かにハッピーエンドではないものの、救済がないとは言い切れないだろう。「よだかの星」や「雁の童子」は同様に夜空を想起させる作品であり死が結末だが、そこが終わりではなく、死んだ後にこそ救済がある……と読み取ることもできる。  では何がそんなに違うのか? といえば、パートナーの存在ではないか、と私は思う。  どちらも孤独だった主人公とステラ、使い途のない魔力の持ち主と、生まれ持った素晴らしい魔法の力を間も無く使えなくなってしまう女性とが出会う。それは雇用主とアルバイトの関係から始まり、主人公の願いが「ステラの願いを叶えたい」という方向へ傾くことをきっかけに同じ一つの願いとなり、互いが互いを救済し合う関係になっていく。主人公は視力を共有させること、ステラは彼の能力にも使い途があると可能性を提示することで。  世の中には慈善を為すこと、恵み与えることが至高の徳で、それを幸せと感じる尊い心の持ち主もいるだろう。だが主人公たちの見つけた幸せは与えることよりも、相手に求めること、ではなかっただろうか。  お互いが相手に求めれば、お互いが相手に「求められている」ことになる。求められもせずに与えるよりも、求められて与えることの方がより幸せである、そう感じるのは私だけではないと思うのだ。  アルバート青年が、彼女の求めに懸命に応えようとしたように。  この作品は、場面ごとの明るさや天候が効果的に演出されている。未読の方はぜひ、読んでいただきたい。 はやくもよいち

5.0
1
はやくもよいち

Thinking of you

私の場所は遠く、異国にひとり

 作中で語られているように、グリニッジ標準時と日本の時差は9時間。  ひと昔前と違って、今はSNSでもメールでも一瞬でつながる。けれども、つながった相手は9時間先の未来を生きている人のようで、誰もがそこに距離を感じずにはいられないだろう。  景観を維持するため、建物の造りは昔のままで、白い壁の建物にチムニーポットの乗った屋根が並ぶロンドンの街並み。そういった風景ばかりを見れば、たしかに「世界が止まっている」かのように感じるかもしれない。心象としては、日本との距離がさらに遠のいていくように思えるだろう。  本来なら主人公・舞子が属している場所・居たい場所は日本の、彼のいる環境と思われるのだけれど、今はロンドンにひとり、切り離された状態だ。 「私は遊びに来てるのではない」  舞子の述懐は暗に、この場所にいるのは「学びに来ている」自分だけであり、「遊んだり恋したり人生を楽しんだり」する自分はどこか別の場所にいるのだ。ただそれは日本でも英国でもなく、どこでもない場所を彷徨っているのだろう。  舞子は懸命の努力をしている。しかし目的を達成するために、自分を含む「余計なもの」を削ぎ落としていけばいくほど、彼女の居場所はなくなっていく。冒頭の時点で、すでに学校とノートPCの置かれた机の前だけ、という状況だ。  彼女は空間的にも時間的にも、そして人との繋がりも孤独である。つまり居場所がないのだ。  そこからどうやって自分のあるべき場所を見つけ、そこに至るまでケイティがどのような役割を果たすかは、本文を読んでいただきたい。またエブリスタの方では、ももたろう さんが詳しいレビューを書かれていらっしゃって、そちらを読んでいただいた方がいいと思うので、あらすじについてはここでは述べない。  私が作品から感じたのは、人はやはり独りで生きられない、ということであり、個人の強さや才能は必ず周りの支えがあって発揮される、ということだった。  未読の方はぜひ、読んでいただきたい。  本文中の味志ユウジロウさんが書かれたページコメントではないけれど、作者ノーコメントの部分に想像力を掻き立てるものがある。続編は考えられているのだろうか。主人公の名前からして、ちょいと気になるところだ。 はやくもよいち

5.0
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はやくもよいち

偽神託

古代日本を舞台に描く、多種多様なキャラが魅力の群像劇

「日本三大悪人」をご存知ですか? この物語は、その筆頭と言っても過言ではない弓削道鏡が巻き起こした「偽神託事件」を題材 に、その影で交わされた男女の恋模様を描いたものです。 え? むずかしそう? 古典は苦手? 歴史なんてわかんない? だーいじょーぶ! この作品は、そんなあなたにこそ読んでほしい! 読み始めたあなたを迎え入れるのは、甘々キュンキュンの恋物語です。 運命の出会いを果たした恋人たち。愛の逃避行に旅立つのかと思いきや、約束の時間に男は現れ ず、女は都から遥か遠い宇佐(大分)の地へと戻っていきます。 そして、たった一夜の契りで授かった命を、ひそかに産み落とすのです…… ――ハイッ! ここまで読んで「エモいわー」と思った方はぜひご一読を。 念のため記しておきますが、これでなんとまだ序章です。本編ではそれはもう魅力的な老若男女が これでもかと出てきます。 そして、これがこの作者さんのすごいところなのですが、現代とは価値観も暮らしぶりも全く違 う奈良時代だというのになぜか、「あ~、こんな人いるよね」「こんな子がいたら絶対好きにな るやろ」と、どのキャラクターもまるで私たちと地続きの世界で生きているかのように活写され ているのです。 (なお私の推しは田麻呂パパ) ……かと言って、歴史的描写が蔑ろにされているわけでもなく、生き生きとした登場人物たちの リアルな暮らしを感じることもできます。 難しい話はないです。 甘々のラブストーリーから、切ない大人の恋、陰謀渦巻く政治劇、初々しい少年少女の恋物語か ら成長譚まで、上質の群像劇がこれでもかと詰め込まれたこの一作。 おすすめですッ!

5.0
1
紙弥 (*´ω`*) ミノリ

星集めの絵

ただひとりの大切な人のために神が与えた能力

星集めの画家、もう名前だけでロマンティックである。 その画家であるステラと、需要のない魔法しか使えないアルバートの素敵な恋の物語。 とにかく色彩や景色が美しい。星は紫紺の空にチカチカと無数に輝き、ステラとアルバートの瞳の色はひとつに混ざり合う。そして最初と最後に出てくるクリスマスの町の華やかさ。 ここで何語も費やして説明するより本文を読んでほしい。 アルバートの悩みは魔法に需要がないこと。しかしステラと出会って能力が開花する。きっとアルバートの魔法はステラのために用意された特別な力なんだ、と思った。 誰でも、大切な誰かのためになら力を発揮できるし、それが予想以上の結果に結びつくのに違いない。 ところで、今までうまく使えないものが相手を得て使えるようになる、というのはとても示唆に富む。 例えば会社で、上司が変わったとたんに生き生きと仕事ができるようになったり……。 能力を発揮できる人との出会いは人生でとても重要だ。 そんなことを読み終えて漠然と思った。 あまりロマンティックではないのは、わたしがトシをとったせいだ。きっとそうだ。 素敵な物語をありがとうございました。

5.0
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しのき美緒@BEKKO BOOKS

クリストキントの贈り物

クリスマスの奇跡が子供たちを変えた

ドイツの架空の村が舞台。身分が違えば話すことはおろか相手をみることもできない、そんな時代のお話だ。 三人の生まれも育ちも違う子供たち。 クリストキントは三人に素敵な時間をプレゼントした。豪華なごちそうをたべながらお互いを理解する時間。 そしてそのときの三人は友情をはぐくみ、移動するいかけ屋の息子マルコは定住して教師になる。そして子供たちにあきらめないことを教える。 美しい話だ。メルヘンだと一笑に付してはいけない。 元来子どもたちは人種・門地・身分・財産で他人を差別する心を持たない。 大人が差別を教え込んでいくのである。 差別は偏見を生み、人と人、国と国とを分断する。自分たちと違う外見、思想を排斥しようとする。それに利害が絡みついて戦争が引き起こされる……。負のループだ。 それを断ち切るのに必要なものが教育である。 本文の最後で、教師になったマルコはいう。 「どの道を志すのも間違いじゃない。君たちが進みたい道を選べばいい。ただそのとき、運命だからといって諦めるのは少し待ってほしい。道はみずからの手で切り開くことができるんだ……」 力強く高らかな宣言である。 新しい年がすぐ目の前にある。 この物語を読んで、自分を取り戻し、進みたい道をいく算段をしてみようじゃないか。きっと道は開けるはずだ。 2021/12/24

5.0
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しのき美緒@BEKKO BOOKS

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小説家になろう恋愛書籍化コミカライズ連載:67話

ガリ勉地味萌え令嬢は、俺様王子などお呼びでない

人は見た目じゃない

第一部は俺様王子編。 傲慢俺様なイケメン王子が『良い』と思えるのは、ヒロインが王子のことを好きになることが前提かつ、ヒロインとのふれあいで傲慢で俺様なだけではない王子の奥底にある良さ等が見えてくるからであって。 ヒロインに好きな人がいて王子のことはこれっぽっちも好きではない場合、権力と自身の魔法の力に物を言わせて人の話を聞こうともせず迫ってくるような俺様っプリは、『キュン』とするどころか『ただただ壮絶に面倒くさい』としか思えないんだな……と乙女ゲーマーとして目から鱗が落ちる思いがした。この手のタイプは乙女ゲではわりとメイン攻略対象として存在するので……前提と視点が違うとここまで意味合いが変わってくるのか……と。 王子の言動と彼自身が迷惑でしかないヒロインと、王子に憧れているヒロインの友人との会話での分かりやすい見え方の違いにめちゃめちゃ納得した。 第二部は俺様王子の弟の腹黒王子編。 第一部は学園内でことが収まっていたけれど、第二部はガッツリ王家が絡んできてヤバさが一段とアップ。 人の話を聞かない第一王子の次は、やはり人の話を聞かない第二王子に王妃と、この国の行く末が非常に不安になる。 が、番外編で第三王子が登場し、なんとかなるのではないかと一息つける。 物語全体を通して会話のテンポがよいので読み進めやすく、最初から最後まで一気に楽しく読めた。 いつも全力で好きを押し出すシャリーナと、困惑しながらも段々惹かれていくリオルの二人が可愛い、物凄く可愛い。 見た目は地味なガリ勉少年で、しかも魔法が使えないという欠点があるけれど、シャリーナの為に己が頭脳と持てる力を全力で使って戦うリオルは本当にカッコイイ。

小説家になろう恋愛連載:119話完結

美醜あべこべ世界で異形の王子と結婚したい!

男性のみ美醜逆転の異世界に美少女イケメンハンター出陣します!

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小説家になろう恋愛連載:154話

絶対呪ってやるからな!【番外編更新中】

暴走沸騰系女子・メイジーによる!拳で☆母を探して。 第一の手段候補は呪いのモトを手に入れる事から

下町で元気に給仕に励む母子家庭の子メイジーは、サバサバした赤毛美人。だがある日突然、下町を謎の高級馬車が走り去った後、家の部屋は血だらけで、もぬけのから。どうも母は攫われたらしい?メイジーは誓う。絶対許さない!下町の隣人たちの諫言をお供に、ちょっぴりニワト…たんじゅ…激怒したメイジーはノンストップで暴走を始める。貴族にツテ?下町にあるわけないじゃ無い!そんな時は呪いがマストって聞いたわ!材料を取りに行くわよ!← これは、たいがい拳で解決しようとする(注・うら若き女性です)メイジーをひょんな事で知り合った美麗な兄と妹が必死に止める?物語。 竹を割りまくってもうスパーン!スパーン!言ってそうなメイジーが爽快。 悩んでる事が小さくかんじる…よしがんばろ!と思わせてくれる、ストレスが飛んでいく小説です。2024年3月中旬の更新ここ数話で、お母さまと再会した今が読み始めるチャンス!