2009年12月、梶栗郷の町には冷たい雨が降り注いでいた。風俗に勤めていた過去をもつマリーは、当時相手にしていた美大生の「F」という客のことについて思い出す。 ソープ「Lips」で働くマリーの元へ、Fは雨の降る日にだけ訪れる。2人は決して交わることはなく、レッドピンクの部屋の片隅で、Fは裸のマリーを写生する。 自身の生き方に得体の知れない渇きを覚えるマリーは、どこかが欠けたまま筆を動かす青年に次第に惹かれ始め、彼女はFのキャンバスに写し出される孤独の正体を知ることとなっていく……。
更新:2023/12/16
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海沿いの街、梶栗郷にひっそりと佇むファッションホテル『ピシナム』は、2019年2月にその歴史に終止符を打った。 ホテルマンとして働いていた青年の磯辺は、ライターの秋山千鶴から『ピシナム』の取材を持ちかけられていた。磯辺は取材を経たのちに、かつてホテルを利用していた女子高校生「R」との出来事を思い返す。 当時、ホテルを訪れる度に風貌の違う男を連れまわすRを、磯辺は次第に気に掛けるようになっていった。2人は顔を合わせることはなく、声を掛け合うこともなく、フロントと部屋を繋ぐ気送管ポストで手紙だけを送り合う。 そして磯辺は文通のなかでRの抱える秘密と孤独に気づき始める……。 文芸社NEO最終選考作品 最後まで読み終えたとき、心は震える。
更新:2023/9/28
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