ぴちゃり、ぴちゃり、汚染された液体が、独房の中に音を立てて落ちていく。この独房には光が入らないせいで、その液体の色は分からないが、決して向こうが透き通って見える透明ではないことは分かっていた。何もすることがない私は部屋の隅で、天井から滴り落ちてくる黒に近い何かを目で追い続ける。
更新:2010/7/16
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埼玉県警組対四課の市郷剛史は、情報屋の大樹公一から近いうちに数百キロに及ぶ麻薬の密輸があることを知らされた。市郷は大樹の情報をもとに、東京医療総合大学付属病院長・島田陽介の身辺を密かに内偵をはじめた。その市郷は島田が仕掛けた罠に落ち、大樹公一を殺害したとして一審で懲役15年の実刑判決を受けた。拘置所から刑務所への護送の途中、接触事故で川原に転落した護送車から市郷は逃走した。髪と髭を伸ばし、変装した市郷は自分をハメた島田を追い詰めるべく単独で走り始めた。そしてそこには終戦直後の暗い影を引きずる島田陽介の過去があった。埼玉、神戸、広島、東京と、ジワジワと核心に迫る市郷剛史の姿を描く刑事小説。
更新:2012/3/7
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