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【書籍化】冴えない俺と、ミライから来たあの娘

大切なひとへ会いに、過去まで。

 勘の良い方のためにネタバレフィルタを付けましたが、小説のネタバレや後半の詳しい展開に踏み込む感想ではありません。ただ事前情報はすこしでもないほうが、より初読の印象が鮮やかになったりする場合も多いと思うので、ぜひ感想よりも先に本作に進んでいくことをお薦めします。  スポーツ用品全般を取り扱うD商事に勤める秋葉悟は、良く言えば誠実そう、悪く言えば特徴のない青年で、社交的とは言いがたい性格が災いしたのか二十五歳になった現在も女性との交際経験がなかった。周囲が営業成績を伸ばし一本立ちしていく中で、成績が伸び悩んでいた彼は仕事面でも活躍してるとは言いがたい状況で、密かな恋心を抱く後輩の田宮には特に話す話題も見つからなくて、横顔を盗み見るだけの毎日を送っている。そんな日常に満足できない鬱屈とした日々を送る彼の前に現れたのが、葛見千花くずみちかだった。ブレザーの制服を着た彼女の姿と容姿から推測するに女子高生で間違いないだろう。困惑する彼に、彼女は「あなたの娘です」と言った……という導入の本作は、時間旅行を経て二〇四二年の未来から訪ねてきた娘との出会いと別れを描いた恋愛小説になっています。  未来においては本当の父娘でありながら、現在においては家族でさえない相手との奇妙な共同生活、という特殊な状況下で互いに理解を深めていき、やがてそれは恋心を含んでいく。障害が大きければ大きいほど恋は盛り上がる、というのは幾分使い古された表現ではありますが、悟と千花に与えられた障害は、実際に向かっていく未来、そして実際に一緒にいられる期間の長さ、そのどちらにしても越えられることは無いものと、彼ら自身も読者も共有しながら、物語は進んでいきます。繋がることはない、繋がってはいけない、と知りながら、それでも抑えることができずに、感情は相手へと向かっていく。その心情の揺れがつぶさに描かれているからこそ、物語の旅路の先に見る光景に、胸を打たれるのかもしれません。

5.0
1
サトウ・レン

雨降りカンパニュラ

花を、吐き、食べ、想い、生きていく。

 互いのみをよすがとするしかなかったふたりが、静かに想いを交感していく物語です。幻想的なヴィジョンの中で恋心が描かれていく作品で、ジャンルを敢えて定義するなら恋愛ファンタジーになるとは思うのですが、ふたりの関係を、愛や恋、といった一語に気軽に当て嵌めていいのか、互いが様々な意味で〈生きる糧〉になるような切実さが感じられて、悩んでしまうところがあります。  後半の展開に詳しく触れるつもりはないものの、念のためにネタバレフィルタは付けましたが、感想を読むよりも、ぜひとも作品のほうを読んで欲しいな、と思います。感想で先に一度読んだ気になってしまうよりも、実際に丁寧に描写された心に自身の心を沿わせていくほうが、より物語の余韻が沁みるでしょうから。  読みましたか? 〈太陽がもう地平線の近くに浮かんでいる。レアリーの瞳が光を吸って宝石みたいに輝いていた。緋色に満ちた森の中を、「帰り道」を進んだ。〉  茹る様な夏の、森の真っただ中で、十三歳の少年ウルベルが出会ったのは、花を吐く少女だった。ウルベルの前で真っ白なプルメリアを吐き出した少女レアリー、バイオレットの髪の揺らめきが印象的な彼女との出会いは、花しか食べられない彼にとって運命だった。森の奥にひとり暮らす少女と花が咲いているところを探して旅をしていた少年は、一緒にいるようになり……というのが導入。  時代も場所もはっきりとしない世界を生きるふたりを待ち受けるものは、美しくも残酷さを孕んでいます。先程も書きましたが、後半の展開に詳しく触れるつもりはありません。でも例えば、そのストーリーをここで私が詳細に書いたとしても、それで内容が分かってしまったからと言って、魅力が無くなる種類の作品だとは思わなくて、その言葉に触れてこそ、と言葉や描写の魅力に満ちた物語なので、やっぱりこんな感想を読んでいる暇があったら作品を読みなさい、と重ねて伝えて、この感想を終わらせたいと思います。

5.0
0
サトウ・レン

絵画の記憶

いつか消えゆく私たちの――。

〈その男はついに妻のことを忘れた。〉  そんな冒頭の一文にはドライさがあり、どきり、とする。思えば記憶というのは不思議なものだ。絶対に忘れないと頑なに信じた記憶は意外にも簡単に消えてしまうし、あるいはどうでもいい、と片隅に追いやっていた記憶がふいによみがえることもある。記憶という概念は恐ろしく曖昧だが、多くのひとにとって何よりも大切なものになっている。だからこそ〈記憶〉というテーマが扱われた物語は、多くのひとの心を惹き付けるのかもしれない。  ……ということで、本作も同様に、記憶を失いつつある画家の男を描いた掌編です。これだけ短いと内容に踏み込まずに感想を書くのが難しいので、ネタバレフィルタを付けましたが、味わいのある文章の読み心地の良さだけでなく、構成のうまさが印象的な作品でもあるので、ぜひ作品のほうを先に読んでもらえたら嬉しいです。  いいですか?  この作品には、〈絵画〉と〈手紙〉が重要な要素として登場します。〈手紙〉は本心を自らの口からは明かさなかった男の本心を知る手がかりとして、〈絵画〉はかつてそうではなかったけれど、彼にとってはある時期からもうひとつの意味を持ちだすようになります。  心も記憶も失われていくのは怖い。それでもそこに確かなものを残すために、何かを残していく。男はその記録として、自身の職業として描いてきた〈絵画〉を選ぶ。  読み終えた時、 〈あれは春のことでした。画家が集まるパーティに参加した次の日から、夫は今までの抽象画とは全く別のものを描くようになりました。それは風景であったり、人物であったり、まるで日常を切り取ったような絵を描き始めたのです。〉  という道を選んだ男の気持ちを想像しながら、苦くも、切なく、静謐な余韻が残りました。

5.0
0
サトウ・レン

棘のない薔薇

〈何か〉を追い求めた先で、繋がりの大切さを知っていく物語。

〈「何が多様性だよ。この国ってぶっ壊れてるね。人と違ったらすぐに叩かれる。それでいて、個性を大事にしろとか矛盾しているんだよ」〉  ネタバレには配慮しますが、内容を知らずに読むかそうでないかで物語の印象というのも大きく変わってくる場合があるので、先入観を持ちたくない方はご注意ください。というか、こんな文章よりも作品のほうを読んでください。  ※一応、ネタバレフィルタは付けました。  良いですか?  もう一度、聞きますよ。  良いですね?  では……。 〈何か〉を追い求めた先で、繋がりの大切さを知っていく物語。読み終えた時、まず抱いたのはそんな感想でした。自分自身の個性を意識しながらも、その一方でその個性に空虚さを感じている語り手を主人公に、不思議な出会いを絡めて物語は進んでいきます。 〈結局、私は光になりたいだけだった。そして、真の神秘とは、快楽にまみれず、孤高を貫き、自らこそ光、と信じる人を指すことを知っている。〉  坂田陽奈の抱くこの感情は繊細さの表れであり、強烈な意思でもある。  誰にでも、と一般論にする気はないですが、自分は他とは違う、特別な何かになりたい、という想いを抱えて多感な時期を過ごしたひとは決してすくなくないと思います。それでもそのうちのほとんどはどこかで折り合いを付けながらその先を歩んでいくものなのかもしれません。だけど簡単に諦めを付けられるひとばかりではなく、主人公の陽奈も同様に自身の人生、その歩み方に深い悩みを抱えていました。  物語はそんな陽奈が二十歳の誕生日を迎えた日の不思議な出会いとともにはじまり、そしてその出会いの相手であり、自らを堕天使と名乗る柊は殺人事件の容疑者として現在逃走中だと知り……。  幻想的なタッチで紡がれる美しいヴィジョンはどこかほの暗くも、心地良い。〈何か〉を追い求めた先で不思議な体験があり、そして自身にとっての繋がりの大切さを知っていく。その心情の変化を成長と捉えるかどうかは読むひとによって違うとは思いますが、ただそこには確かに語り手の変わりゆく心があります。痛みを伴った、切なさが琴線に触れる作品でした。

5.0
0
サトウ・レン

水切り

ほの暗さの先に、かすかな光彩が見える。

 異界の裂け目から差し伸べられた手に引かれるように、気付けば読み終えていました。  小説を読んでいて、どんな時に、〈しあわせ〉な感覚を得るでしょうか? それはもちろん読者それぞれによってまったく違う答えが返ってきて、それこそが小説の自由なわけですが、私は物語が言葉でできていることを実感させてくれる小説に出会った時に、そういう想いを抱く場合が多いように思います。小説は言葉でできている。実際に言葉にすれば当たり前のようにうつりますが、物語を読んでいる際中に、改めてその事実を実感する機会は、(すくなくとも私にとっては)そんなに頻繁にあるものではありません。まぁ何が言いたいか、というと、私にとって本作はそういう嬉しい気持ちを思わず抱いてしまうような作品だったわけです。  過去の後悔や罪悪感といった心情が混じるほの暗く複雑な心情に、静かな恐怖が重なります。淡々と怖さや哀しみ、不安が綴られる先に、切ない情景とかすかな光彩が見えて、その余韻に浸っていたくなる作品です。物語にとけこむその文章の佇まいがすごく好きで、それは物語の導入をここで紹介したところで、伝わるものではなく、伝える自信も私にはありません。  なので、こんな紹介文を読んでいる暇があるなら、ぜひ作品を読んでください。導入の文章の感触を心地よく感じたならば、言葉をたゆたう楽しみが、きっと待っているはずです。

5.0
0
サトウ・レン

確かにあった、あの夏の日。

河童との遭遇、あるいは青春の一幕。

〈僕の目に見える十数色程度の世界も、安藤の目には様々な彩りに溢れているように見えるんだ。きっと、今目の前に広がる全てが、そう見えているんだ。〉  ネタバレなしの感想にはなりますが、ぜひ感想を読むよりも作品のほうを読んで、夏の郷愁に身を浸してきて欲しい、というのが感想者の本音です。そのあと気が向いたら感想も読んでもらえたら、なお嬉しい、というのも感想者の本音です。  その日、離島に住む小学生の和田隼人が埠頭で出会ったのは、アイスキャンディを一心不乱に舐め続ける河童だった。河童は自らを〈旅河童〉と名乗り、そのアイスキャンディは島の数少ない女の子のひとりである安藤チエから貰ったものらしく、彼女に対して無口で不愛想な印象を抱いていた隼人にとって、それは意外なことだった。  河童と未知との遭遇を果たしたあのひと夏の経験が、少年の心に変化を与えていく。青春ファンタジーの趣きが濃い、不可思議な雰囲気に満ちた作品ですが、新しいことを見聞きし、新たなものと出会うことで、いままでと違って見方で世界を見たり、凝り固まっていた価値観がほぐれ、狭かった視野が広がっていく、少年を〈成長〉へと繋げていくものは誰にでも起こりうる普遍的なもので、自分事として自身の心を作品に寄り添わせたくなるような作品になっています。  隼人とチエ、そして河童。ほほ笑ましいやり取りは心地よく、知らないはずの過去に、その身を浸すような郷愁を覚えてしまうのは、多くのひとが共有する青春の根っこが丁寧に描かれているからなのかもしれません。素敵な作品でした。

5.0
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サトウ・レン

白夜灯

冬に見る、短い夏の記憶――。

 溜めこんだ太陽の熱を光と熱に戻し、〈私〉たち吹雪の島(スネーストルム)の民が厳しい冬を乗り越えるための必需品となっている不思議な珠を、土地の人間は「白夜灯」と呼んでいた。その魔道具「白夜灯」を点けると、ときおり夏の記憶が蘇ることがあるのだが、理由は王都の魔導士にも分からないらしい。〈私〉はその描き出された夏の記憶の中で、大好きなアルヴァという鷲獅子(グリフォン)と再会する。長く厳しい冬が続く島の、短い夏の日の記憶、婚約者に逃げられた女性と鷲獅子(グリフォン)との想い出と邂逅を描いた本作は、そんな導入からはじまります。  必要以上のネタバレは避けつつも、勘の良い方のためにネタバレフィルタを付けましたが、感想を読むより作品を読んでください。  言葉選びのひとつひとつに読む側に訴えかけてくる情感があって、美しさの中に静謐な哀しみを湛えたようなファンタジーで、細やかに描かれた語り手の心情を表す描写もとても印象的でした。  例えば語り手のユーリアが自分の陰口に花を咲かせている若い娘ふたりの立ち話を耳にした時に、相手を睨みつけるシーンがあるのですが、そのやりとりひとつとっても、淡々としているのに、やり取りの中に嫌なものが感じ取れるようになっていて、そういった細かい部分の積み重ねが、未知なる景色に他人事ではない実感を与えてくれるのかもしれません。 〈不意に湧いてきた問いかけに、私は答えることができない。夏に働くのは、冬に備えるため。冬を生き延びるのは、次の夏を迎えるため。  終わらない繰り返しには、何の意味があるんだろう?〉  という文章が途中に差し込まれるように、本作は幻想性のある奥行きもさることながら、自身のアイデンティティに悩む若者の、青春、成長の物語としても、とても楽しめる作品になっています。必要以上に後半の展開については触れませんが、幻想性の中に混じる人間の営みが持つ普遍的な〈残酷さ〉、というひとつの体験を通して、自分なりの答え、これからどうするかを強く決意する場面には、成長物語として心打たれてしまいました。

5.0
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サトウ・レン

高台の公園

静かな罪の記憶の物語。

 ネタバレには配慮した感想になりますが、真っ新な気持ちで読んだほうが受ける印象が鮮やかになる気がします。未読の方はぜひ感想よりも、作品のほうを。  三十歳を前にして札幌での仕事を退職した〈私〉こと滝本奈緒は、地元に戻った際に、町内の子供たちから「神社公園」と呼ばれていた公園を二十年ぶりに訪れる。人も寄り付かなくなって久しく、いまでは多くの遊具がなくなり、すっかり寂れた様子の町外れの公園で、〈私〉が思い出すのは、小学四年生の春に姿を消した舞のこと……というのが、導入。  誰にとっても偏愛を注いでしまうジャンルや作風がある、と思います。趣味嗜好が大きく関わり、どんな作品がそれに当たるのかは十人十色で、どれだけ似ていても、同じになることはほとんどないでしょう。私にとってのそのひとつが、過去の記憶と向き合う物語、ふいに訪れる過去からの罪と対峙する瞬間を描いた物語で、本作はまさにそんな作品でした。出会うだけで、特別な喜びに満たされ、それが私にとって面白いものならば嬉しくなる。  幼い日から続く罪の記憶、そして新たに知る秘密の共有によって、とめどなく溜まっていく心の澱が淡々と丁寧に描写されて、その静かなトーンは変わることなく、苦い余韻を残して幕は閉じていく。  あぁ、好きだなぁ、と喜び嬉しくなった作品を、今回は紹介させていただきました。

5.0
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サトウ・レン

チョコレート パニック!

甘く、刺激的な世界の果てで、俺は。

 物語後半の内容に触れるため、ネタバレフィルタを付けました。まだ読んでいない方は、まずはぜひ作品のほうを。  良識のある清廉な男女ばかり集まったそこそこの進学校に通う、デブでオタク(本人評)な〈俺〉は、周囲の自分への要らぬお節介にも等しい視線を含んで迷惑なバレンタインデーを呪う気持ちから悪魔を呼び出す儀式の真似事をして自己嫌悪に陥ってしまうが、そんな冗談めいた遊びは、本当にソロモン72柱の魔神のひとりである、吟詠公爵ゴモリー、異国情緒あふれる妖艶な美女を召喚してしまう……というのが、物語の導入で、「チョコレート パニック!」なるタイトルに似合いの騒動を経て、その先にある少年のひとつの成長への共鳴が胸を打つような作品になっています。  あれが嫌だ、これが嫌だ、と何かを憎んだり呪ったり、とする感情は多かれすくなかれ、ほとんどのひとに備わっているもので、今回の語り手にとって、それはバレンタインデーであり、類似するようなイベント事だったわけですが、すくなくとも私には他人事のようには感じられず、語り手の感情を卑屈だ、と笑うことはできませんでした。  それがバレンタインデーになるかは別にしても、誰もがどこかに身に覚えのある普遍的なものなのかもしれません。だからこそ語り手が存在自体に憎しみを向けるのではなく、見方、心の持ちようを変えていくことで一歩前に進んでいく姿が、自分事のように嬉しく感じて、読者自身も語り手に自分を重ねて、いまの気持ちの在り方を再確認しながら先に進んでいけるような、そんな気持ちになれる小説でしたし、そういう読み方はしなくても、爽やかな印象が残る青春エンターテイメントとして楽しい作品なので、ぜひ幅広くお薦めしたいな、と思いました。

5.0
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サトウ・レン

二人の囚人

一人は泥を見た。一人は星を見た。

“二人の囚人が鉄格子から外を眺めた。一人は泥を見た。一人は星を見た。“  作品のエピグラフに掲げられた、フレデリック・ラングブリッジの言葉。本作を読むまで私はこの言葉を知らなかったのですが、同じ立場の人間が二人いたとして、物事のどこに目を向けるのかはその人次第、という意を表したものだそうです。  その日、二人の少年が死んだ。一ノ瀬真と柚木良平。柚木良平は肉体を、一ノ瀬真は人格を失う、という形でこの世から消えてしまったのだ。  彼ら二人には二人だけの特異な“体質”があり、互いの右手に触れると人格、心が入れ替わり、互いの左手に触れるとそれが戻り、高校の同級生だった良平と真は、不思議な関係のまま高校の三年間を過ごしていく――。この能力とは距離を置きたい良平と距離を縮めてくる真の姿が、真逆な性格をよく表していて、印象的です。そして卒業式を明日に控えるその日、真から「最後にもう一度だけ入れ替わってくれないか?」と提案を受け――。  ……と、語るのはここまででいいでしょう。ここからは初めて読むひとのためのもの。その面白さを奪うようなことがあってはいけない。  自分自身を見失っていくような感覚、“良平“と同様の境遇に置かれるひとはいなくても、同じような気持ちを経験した記憶がある、あるいはいまそういう現状にいるひとは多いでしょう。そんな多くのひとが他人事にはできない“良平“が借り物ではない自分を見つけていく姿には、普遍的な青春小説として心に刺さる面白さを感じました。冒頭に掲げられたエピグラフは作中でも使われていて、物語の終わりに綺麗に絡み合っていくさまは、読みながらとても心地よかったです。

5.0
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サトウ・レン

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