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作者:白煙モクスケ

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作:白煙モクスケ

転生令嬢ヴィルミーナの場合

 我々が平和と繁栄を享受できるなら、我々以外の全ての人間が苦しんでいても構わない。  魔導文明世界の近代初期とはそういう時代だった。  この時代、大陸西方や大陸北方の各強国は周辺国との領土の削り合い、言うなれば、自分の家の庭先で延々と殺し合い、奪い合うことに疲弊し辟易し嫌厭していた。苦労してモンスターを駆除して切り拓いた土地を台無しにし、汗水流して稼いだ国富を小便のように垂れ流し、限りある人口を使い潰すことに疲れ果てていた。  そこで、彼らの一部はもっと建設的かつ生産的な希望を求め、外洋へ踏み出した。  現代日本の教科書なら「大航海時代の到来」などとロマンティックに記しただろうが、その実態は悪辣極まりない。軍事力を背景にした強国による大侵略時代が到来したのだから。  列強の外洋進出は幾多の苦難と困難を乗り越えて成功し、彼らに大きな富と繁栄をもたらした(侵略される側には決して忘れぬ恨みと怒りをもたらした)。  そして、時が流れて大陸共通暦18世紀。  戦乱と革新の気配が強くなったこの時代に、ベルネシア王国の大公令嬢ヴィルミーナが前世覚醒を遂げた。  前世同様の野心と強欲と上昇志向が目覚めたヴィルミーナは、激動の時代をどう生きるのか。

更新:2024/4/19

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