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作:瀬良 啓 Sera Quei

殺戮機械 La Machine Slaughter

 二〇一一年一二月、その年の大震災などなかったかのように人びとがクリスマスで浮かれている師走の夕刻、恵比寿駅前で人が突然、燃えた──。  それは、超常現象の類ではなく、焼夷徹甲弾による狙撃だった。五〇〇メートル先から実行したのは、不動 真。元警視庁機動捜査隊警部補。機動捜査隊以前は、警視庁特殊部隊(特殊急襲部隊SAT)狙撃支援班に所属していたスナイパーだ。  八年前、不動の妹が車で連れ去られる。一緒にいた女房は立ちはだかったものの、はねられ死んだ。女房は妊娠しており、お腹の中の子供も助からなかった。妹は、ラブホテルの一室に監禁され、一週間にわたり繰り返し輪姦された挙句、自殺。無残な姿で雑木林に放置されているところを発見される。半グレ〝帝都聯合〟に属する少年六人による犯行だった。彼らは、全員、検挙され懲役を受けた。   懲役なんて、あまりに温い。不動は、最後の一人が少年刑務所から出たのを見計らい、皆殺しにすべく行動を開始。殺戮を繰り返していく。恵比寿で人間を燃した件は、そのひとつに過ぎない。   帝都聯合の背後には黒幕がいた。ロシアマフィアや武器商人らと関係を持ち、犯罪組織を形成している警察キャリアOB、公安部外事課にいた堂上誠一である。ガキどもの犯行は単なるセックス犯罪ではなく、当時、外事課エースだった桂 丈太郎に要請され秘密裡に捜査に加わっていた不動を排除するために、堂上が企てたものだったのだ。  明らかにされていく真実。返り討ちにすべく堂上は、元スペツナズで構成される傭兵まで繰り出してきた。  不動は復讐を成し遂げることができるか?

更新:2014/10/9

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