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クリストキントの贈り物

クリスマスの奇跡が子供たちを変えた

ドイツの架空の村が舞台。身分が違えば話すことはおろか相手をみることもできない、そんな時代のお話だ。 三人の生まれも育ちも違う子供たち。 クリストキントは三人に素敵な時間をプレゼントした。豪華なごちそうをたべながらお互いを理解する時間。 そしてそのときの三人は友情をはぐくみ、移動するいかけ屋の息子マルコは定住して教師になる。そして子供たちにあきらめないことを教える。 美しい話だ。メルヘンだと一笑に付してはいけない。 元来子どもたちは人種・門地・身分・財産で他人を差別する心を持たない。 大人が差別を教え込んでいくのである。 差別は偏見を生み、人と人、国と国とを分断する。自分たちと違う外見、思想を排斥しようとする。それに利害が絡みついて戦争が引き起こされる……。負のループだ。 それを断ち切るのに必要なものが教育である。 本文の最後で、教師になったマルコはいう。 「どの道を志すのも間違いじゃない。君たちが進みたい道を選べばいい。ただそのとき、運命だからといって諦めるのは少し待ってほしい。道はみずからの手で切り開くことができるんだ……」 力強く高らかな宣言である。 新しい年がすぐ目の前にある。 この物語を読んで、自分を取り戻し、進みたい道をいく算段をしてみようじゃないか。きっと道は開けるはずだ。 2021/12/24

5.0
1
しのき美緒@BEKKO BOOKS

空の飛び方

高い技術によって描き出されるのは現実か、それとも白昼夢なのか

人は誰しも別れを経験する。避けられない別れかもしれないし、避けることができた別れかもしれない。 別れの直後には楽しかった思い出や、したかった希望がしばらくは頭の中で渦を巻く。それが恋しい人であればなおさらだ。 僕は幼馴染の遥とずっとつかず離れずの関係を保っている。もちろん関係を変えたいと思っているのだがなかなか行動に移すことができない。今の関係を失いたくはないが先にすすみたい、と僕は葛藤する。切り詰めた短い文を繋げていくことで、僕のめまぐるしく変わる思いがカットバックをみるように伝わってくる。さすがの表現力だ。 そんな甘やかで切ない日々はある日突然切断される。 僕は部屋に閉じこもってしまう。 考えてみてほしい。15年ほども幼馴染をして親しく行き来していたのだ。僕の部屋には遥の思い出がたくさん残っているだろう。もらったプレゼント、そこここに見える遥の残像。僕の後悔と悲しみは癒えることがない。 12月21日「草野マサムネ誕生会」の日、うとうとしていた僕は、遥の声で目覚める。 いったい僕はどの世界にいるのか。 作者は何も書かない。心憎い配慮である。このラストで読者も僕も救われるのである。 ところで、作者さまの高い技術力を味わってほしいので、すごい蛇足感満載ではあるが、一応説明しておく。 僕の心中思惟が続く前半から中盤はレビュー中にも書いたように、非常に短い無駄のない文を積み重ねていくことで千々に乱れる葛藤が表現され、事故後友人からの電話を受けるあたりからは小説風に余韻余情ある文体が使われている。 そしてラストは明るいややライトな口語表現である。 二度、三度読み直してみてほしい。

5.0
0
しのき美緒@BEKKO BOOKS

アルカへ

無償の愛、魂の成長の記録

地球は汚染されつくし、人類は大きな賭けのような無謀な作戦を断行した。 雨が降り続き刻々と姿を変える大地、荒れた灰色の海。風にもまれる白い鳩。 海に飲み込まれてゆくあらゆるもの。壮大な情景描写から作品は始まる。 そこでカンサクとコウタ、ふたりのエゴが衝突する。 愛するコウタを救うために、カンサクはコウタの恋人クリスを拉致する。 恋人の命とコウタ自身の命の保全という餌をちらつかせて愛してくれとカンサクはコウタに迫る。命と死を秤にかければ命を選ぶだろう、というカンサクの計略は失敗する。 カンサクの計略はもちろん利己的だが、コウタの「人が死んでいくのをみて自分だけが生き延びることはできない」も実はヒロイズムによる行動である。コウタには何の戦略も生きる手立てもない。ただアルカという略奪した船に積まれた食料だけが頼みなのだ。 コウタが恋人とふたりで船出をしたあと、人や動物を救うことはできない。反対に人間を含む動植物の胚を持ち出して、新たに創造主としての仕事を始めることが暗示されている。 カンサクは旅立っていったふたりに最後の贈り物をする。 そしてカンサクの最後は書かれていない。 もしかしたらイルカになる道を選んだかもしれないが、そうではないように思う。 愛に殉じたカンサクがひとり甲板に立ち、鳩を見送る姿が心に迫る。

5.0
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しのき美緒@BEKKO BOOKS

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小説家になろうファンタジー短編完結

魔法少女になるからわたしと契約してよ

法律ヤクザな魔法少女

オチにニヤッとするが、私もこんな魔法少女はイヤだ。 短編小説に定評のある燦々SUN氏の作品で、安定した文章と構成は安心して読める。 「わたし、魔法少女コントラクターまりん! 父は弁護士母は詐欺師。愛読書は六法全書! 今日も、無法地帯出身の蛮族達に契約の恐ろしさを教えちゃうゾ☆」(本文より引用)

小説家になろう恋愛書籍化コミカライズ連載:67話

ガリ勉地味萌え令嬢は、俺様王子などお呼びでない

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第一部は俺様王子編。 傲慢俺様なイケメン王子が『良い』と思えるのは、ヒロインが王子のことを好きになることが前提かつ、ヒロインとのふれあいで傲慢で俺様なだけではない王子の奥底にある良さ等が見えてくるからであって。 ヒロインに好きな人がいて王子のことはこれっぽっちも好きではない場合、権力と自身の魔法の力に物を言わせて人の話を聞こうともせず迫ってくるような俺様っプリは、『キュン』とするどころか『ただただ壮絶に面倒くさい』としか思えないんだな……と乙女ゲーマーとして目から鱗が落ちる思いがした。この手のタイプは乙女ゲではわりとメイン攻略対象として存在するので……前提と視点が違うとここまで意味合いが変わってくるのか……と。 王子の言動と彼自身が迷惑でしかないヒロインと、王子に憧れているヒロインの友人との会話での分かりやすい見え方の違いにめちゃめちゃ納得した。 第二部は俺様王子の弟の腹黒王子編。 第一部は学園内でことが収まっていたけれど、第二部はガッツリ王家が絡んできてヤバさが一段とアップ。 人の話を聞かない第一王子の次は、やはり人の話を聞かない第二王子に王妃と、この国の行く末が非常に不安になる。 が、番外編で第三王子が登場し、なんとかなるのではないかと一息つける。 物語全体を通して会話のテンポがよいので読み進めやすく、最初から最後まで一気に楽しく読めた。 いつも全力で好きを押し出すシャリーナと、困惑しながらも段々惹かれていくリオルの二人が可愛い、物凄く可愛い。 見た目は地味なガリ勉少年で、しかも魔法が使えないという欠点があるけれど、シャリーナの為に己が頭脳と持てる力を全力で使って戦うリオルは本当にカッコイイ。

小説家になろう恋愛連載:30話完結

薬師の魔女ですが、なぜか副業で離婚代行しています

恋愛ジャンルになっているが、他者の恋愛に絡んだことを仕事としている物語でヒーローとヒロインの間に恋愛は始まっていない(今後もしかしたら始まるかもしれない? というような匂わせ雰囲気で終わっている)ので、ジャンルタグつけが間違ってる訳ではないが求めていたものとは違う……という複雑な読了感だった。 物語自体はさくさくとテンポよく読めて悪くなかったので、恋愛ではなくファンタジータグであれば気持ちすっきり終えられたのになあ……と思った。