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作者:不覚たん

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作:不覚たん

キラキラをさがして

すべては夢の中。 目を覚ませば終わる話。 ある偽りの楽園を、人々は偽りと知りながら楽しんでいた。 花もある、酒もある。 なんだっていい。 どうせ虚構だ。 その楽園には、誰も足を踏み入れようとしない「外界」があった。 近づけば怪しい声がして、人々を外へ誘おうとする。 もちろん誰も応じない。 人々は、満ち足りた楽園を出たがらない。楽園に疑問を抱くことは、楽園を否定する行為だと考え、まず疑問を抱くこと自体を嫌悪した。 主人公の男は、しかし気まぐれに声に応じる。 疑問を抱くくらいいいだろう。そこになにがあるのか知ることだって、罪にはならない。みんなは罪と考えるかもしれないが、自分はそう考えない。 かくして彼は楽園を出る。 しばらく進んで振り返ったとき、じつは楽園が、地獄のような空間に吊りさがっていたことを知る。 「キラキラをさがして」 声はなおも男を導く。 行く手には、どろどろの空。 叫び声のような風音。 転がる人骨。 「キラキラをさがして」 本当にあるのだろうか、キラキラなるものが。 いや、あろうがなかろうがどちらでもいい。 男は、あのウソまみれの楽園にいたくなかった。 ただそれだけなのだ。 (※備考 2022/08/20) 「神田きらり」の名前を「神宮寺きらり」に変更しました。

更新:2022/8/29

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