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作:仁羽 孝彦

小悪魔な義妹を演じる義妹

 成績優秀、文武両道、才色兼備。そう呼ばれるにふさわしい高校の同級生、西陣リサ。目だった特技を持たないジュンにとって彼女は別世界の住人に見え、同級生以上の関係になることはないと考えていた。  ところが両親の再婚でリサが義妹になり、兄妹という関係になってしまう。さらに「ジュンお兄ちゃん」と甘い声で呼び、思わせぶりな仕草を見せて振り回す。    そんないたずら心を見せながらも、リサには譲れない何かがあった。 「遠慮しないことと無遠慮であることは違うんだよ?」  リサが求める心の距離が一体どのようなものなのか?「家族」の輪郭をなかなか捉えられずにいるジュンはそれでも自分なりに不器用ながらもリサとの向き合い方を見つけようとする。  これは家族であることにこだわりを見せる少女とそんな少女との距離に悩む少年の青春物語。 “義妹”は“妹”ですか? それとも“ヒロイン”ですか? ※2020年4月20日掲載『【短編版】小悪魔な義妹を演じる義妹のお話』は本作とは独立した“スピンオフ作品”になります。一部描写が重なる部分がありますが、本作の展開とは一切関係ありません。

更新:2020/9/19

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作:春山 潮

不幸を背負って、親父は笑顔で逝った

 親父が死んだ。有名人でも、企業の重役でもない、タダの田舎の、お調子者のくそオヤジ。ただ、親父には、家族でさえも知らなかった、「自分の幸せを切り売りする能力」があったのだ――  神奈川県のとある港町を舞台に展開する、「幸せを切り売りする力」に翻弄された、不器用な親父と家族の物語。    あなたは、大切な人のことを、どれくらい知っていますか。   第一章 親父の背中  父親の葬儀の準備をすすめる中、息子である俺は、親父の日記帳と、不可解な内容が書かれた芳名帳を見つける。そこには、親父が家族にも隠していた、ある能力の事が書かれていた。なんでも芳名帳に自分の幸せを与えたい相手の名前を記載すると、自分の幸せを相手に譲渡することができるというのだ。 そんなことをして、親父は、幸せな人生を生きられたのだろうか。 悲しみの底の中で、俺は一枚一枚、芳名帳と、幸せを譲る経緯が書かれた日記帳をめくっていく。 第二章 消えない傷と、あなたへの想い  自分の幸せを家族のために犠牲にしてきた夫。妻である私は、夫の優しさや思いやりにあぐらをかき、最後の最期に彼を大事にしてあげられなかったことを心から悔やんでいた。  後悔と懺悔を繰り返しながら亡くなった私は、その後の世に、前世の記憶を持ったまま生まれ変わる。  運命の悪戯か、夫の生まれ変わりと再会した私は、複雑な思いを抱えながらも、再び彼に好意を持ち始めた。――しかし、「元夫」のもとには、前世の因縁から再び不幸が襲い掛かろうとしていた。 第三章 白い猫と神主  かつて「呪いの道具」として人間相手に猛威を奮ったワシは、術者の死によって、自由の身となった。永遠に続くとも思われる生に飽き飽きし、戯れに人を殺し、災厄の権化と化した。  ただ殺すだけでは飽き足らず、とある「道具」を生み出したことで、運命の歯車は思わぬ方向へ回り始めた。 ――「幸せを切り売りする力」が生まれるまでの経緯と、それを巡る人間と「神主」の悲哀を描く、もうひとつの「幸せを切り売りする力」の物語。

更新:2021/12/1

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作:岡崎 剛柔(おかざき・ごうじゅう)

勇者パーティーを追放された荷物持ちの俺、家に帰って元大賢者のお母さんに事情を話したら「お母さんが話つけたるわ」と勇者パーティーに【カチコミ】に行きました。え? 息子の俺はただの荷物持ちですよ?

「グレン、お前はクビだ! この勇者パーティーから出て行け!」  ある日、荷物持ちのグレンは勇者であるアレスにクビを言い渡される。  理由は荷物持ちのくせに、満足な働きができなかったからだった。  くそっ、俺は頑張って荷物持ちをしてきたんだぞ。  などと思っても遅かった。  余計なことを言ったことで殺されそうになったグレンは、家に帰るなり元大賢者の母親に事情を話す。 「はあ? いきなりクビでパーティーから追放ってどういうことやねん!」  事情を知った元大賢者の母親は怒り狂い、グレンを連れて冒険者ギルドへと向かう。  その後、元大賢者の母親による冒険者ギルドでのカチコミが行われることとなる。  当然ながら単なる荷物持ちだったグレンは、事の成り行きを盛大に心の中でツッコみ続けた。  やがてすべてが終わったとき、なぜかグレンは冒険者たちの神と呼ばれる存在になってしまう。  これは後世において、魔王を倒した荷物持ちの物語?  

更新:2021/9/10

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