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タグ:R15は念のため

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作:dost-oyakata

どうやら同じ世界に転生することになったようだから、今度は普通の人生を過ごしてみたい。~「リア充」は「リアルに充電が必要」という意味だと思っている~

 瀬谷一郎の人生は、まさに苦労と共に歩んだ人生だった。  両親は町工場を経営していた。子供時代は比較的裕福な環境で育てられた。とても愛されていたと思う。  その状況が一変したのは、父親が連帯保証人になっていた友人が行方不明になったことだった。日夜関係なく、借金取りの連中が押し掛けた。父親が必死に土下座をしている姿は忘れることができなかった。そして、夜逃げ同然に住み慣れた町を離れることになった。  それからは、絵に描いたような貧困の生活だった。  両親は借金返済のために、朝から晩まで働き続けた。それこそ身を粉にして働き続けた。しかし、しばらくして父親は精神が壊れた。働かなくなり、安酒に浸るようになった。酔って、母親と私に暴力を振るうようになった。  母親は父親の元を離れることを決心した。二人で寒い夜空の中、小さなボロアパートを出ていった。  二人で働きながらひっそりと暮らし始めた。しかし、母親の身体を病魔が襲った。母親に満足な治療を受けさせることもできず、寒い冬の日に息を引き取った。最期に「ごめんね…。」と涙ぐんでいたのが頭から離れなかった。  それから新しい職場で働き始めた。そんな中で職場の同僚で仲良くなった人がいた。親友と呼べる間柄になった。ある日、彼が借金の連帯保証人になってくれと頼んできた。最初は渋ったが、結局は承諾した。しかし、彼は逃げた。私は父親と同じ運命を辿ることになったのだ。  それからは借金返済の毎日だった。  40歳を迎えた時に、借金返済が完了した。  やっとこれで借金生活から解放されると思った矢先、勤め先だった印刷工場が倒産した。その後、小さな清掃会社に就職することができたが、毎日の生活を過ごすだけでやっとだった。「何で俺ばかりが…。」と何度思ったことか。  借金のせいで、青春らしい青春を送ることは叶わず、結婚どころか恋愛すら経験することはなかった。  普通でいい。本当に普通でいいから、普通の人生を過ごしてみたかった。  私は「今度は普通の人生を過ごしたい」と思いながら、最期を迎えた。奇しくもその日は私の60歳を迎えた日であった。 「瀬谷一郎さん、この世界でもう一度人生をやり直しませんか?目指すは『リア充』です!」  気が付くと、そんなことを言われていた。  そうか、「リア充」か…。確かにリアルに充電が必要だな。

更新:2022/10/26

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