空を見上げれば、青く澄んでいて、髪を撫でる風は心地よい。それなのに、エナは無意識にため息をついた。 「エナ、どうかした?」 エナの隣にいたカイが端正な顔に心配の表情を浮かべ尋ねる。そんなカイにエナは小さく首を横に振った。 「なんでもないよ」 「…嘘」 カイはエナの顔をのぞき込むように見つめながらそう言った。 「え?」 「その顔は、何か悩んでる顔だよ」 「…」 「何年一緒にいると思ってるの?僕がわからない訳ないだろう?」 あまりに自然に言われたその言葉に、エナの胸は一つ音を立てた。
更新:2021/7/4
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「何って、小説だよ!この恋愛小説有名なのに知らないの?」 本の表紙を見せながらジェニファーは多少興奮気味にそう伝える。けれどレオナルドは興味なさそうに表紙を一瞥しただけだった。 「知らないよ、恋愛小説なんて。経済とか政治の本しか読まないからね、俺は」 「なんで!読んだ方がいいよ!キュンキュンするから! 「キュンキュン、ね」 「もう、この切なくて甘い感じがもう、ほんと、キュンキュンするの。本当に格好いいし!」 「キュンキュンさせればいいんだろ?」 「え?」 レオナルドの言葉の意味が分からず、ジェニファーは彼を見る。気付けば想像よりも近くにレオナルドの顔があった。 「レ、レオナルド…?」 「レニー、だろ?」
更新:2020/5/17
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緊張をした。ドキドキした。けれど、それだけで、そこに何かの感情が湧いてくることはなかった。 ひどく残酷だと思った。 何も気づかなければ、可愛そうな被害者でいられたのに。たった一言で気づかされてしまった。 残酷なのは、自分だと。 ※食べ物の話ではありません。
更新:2013/6/5
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土のにおいがした。雨が降るんだと葵は思った。早く降ってほしい。そうすれば、遠慮せずに泣けるから。
更新:2014/11/1
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連載となりましたので、そちらをご覧ください! 今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。
更新:2017/1/21
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動物の声が聞こえる彼女と冷たい第二王子の物語。完成しました。 「……反対されない、というのは、寂しいことだと思いますの。だから…私が反対してさしあげます」 サーシャは最上級の笑顔を浮かべた。そして、思い切り息を吸い込む。 「何でも思い通りいくと思うなよ、くそ王子!!」 「サ、サーシャ様!?」 なりゆきを見守っていたハリオが慌てたようにサーシャの名を呼んだ。一国の王子への暴言は不敬罪で捕まりかねない。けれど、言わずにはいられなかった。 そんなサーシャの言動にユリウスは一瞬目を丸くし、しかしすぐに楽しそうに笑った。 「お前面白いな。本当に気に入った」
更新:2020/5/9
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「お母様、この方たちは誰ですの?」 「あなたの婚約者候補よ」 「婚約者…ですか?」 「ええ。その中ならば、誰でもいいわ。自由に選びなさい。家柄、身分、そして容姿もあなたにぴったりの相手を5人も探したのよ」 ※無事完結しました!
更新:2015/9/5
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※『チョコレートを貴方に。』『俺の気持ちをお前にやるよ。』の咲弥と和真のシリーズ第3弾です! 咲弥は部屋の窓を開けて、空を見上げる。蛍光灯に邪魔されながらも、星は綺麗に輝いていた。 咲弥は目を閉じ、囁くように言った。 「明日もちゃんと晴れますように」 晴れてほしいと咲弥は思う。 明日は、一年に一度、織姫と彦星が出会える日なのだから。
更新:2013/7/7
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※以前投稿している影という作品を修正したものです。 内容は全く同じです。 「〝影″は、この国の重要な役職、王の右腕だ」 「…」 「俺は表で働き、〝影″は裏で働く。才能と、知能、武術、格闘。全てにおいて強くなくてはならない。他国では、隠密と呼ばれている。要するに密偵だ」 「…」 「俺が、お前を教育してやる。なるか?〝影″に」 王は片頬を上げた。 「厳しいぞ。覚えることはたくさんある。先には茨の道しかない」 「茨の道でも、道は道です。道ならば通り抜けられる。通り抜けろと仰るのなら、通り抜けてみせます」
更新:2013/6/30
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