ラドラゼルフ家というと、誰に聞いても、「あの悪名高いラドラゼルフ家か」と全員が全員、口を揃えて言う。最大級の侮蔑を込めて、かつ誰にも聞かれぬように小声で。 ロザンナは、そのラドラゼルフ家の一人娘だ。現在、(本人曰く)一生に一度の恋をしている真っ最中。お相手は貴族嫌いで有名な、シュナイダー商会の一人息子。 これは無理じゃない? それにラドラゼルフ家はもうすぐ潰しますし、私が。と優秀な侍女であり、かつ優秀な諜報員である私ことエミリー(偽名)は冷静に考えながら見守っています。 能天気な貴族娘と貴族嫌いの商人、それから優秀な侍女=私による、ドタバタラブコメディーです。割合的には1:2:1ですかね。え、残りの6? さあ、どこへいったのでしょう。
更新:2015/1/12
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私こと相田菜月が彼と出会ったのは、大学のテニスサークル新歓……の次の日。「昨日はドーモ」と私に話し掛けた、綺麗なお顔をした青年こそ、篠原晃だった。 「もし良ければ、またご飯に行かない。……二人きりで」 色気のある声、ニセモノくさい笑顔。本気の恋はしない主義。 「彼氏に怒られるので」 生憎、母と兄弟に壮絶なイケメンを持つ私は、貴方の魅力は効きません。 だから私は貴方の恋愛ゲームには乗らない。 ──これは二人の成功の形を綴る物語。 ◆本編6話。番外編5話。
更新:2016/2/3
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エイダの夫は、非常に優秀な領主様である。その旨を直筆の報告書にまとめたエイダは満足感を刺激する結果に、ふへへ、と笑った。 そして、エイダは家出した。 『ユージン様の有能さは、これ以上ないほど明白です。 私・エイダがいなくともユージン様は立派なご領主様。つまり、私はお役目御免と考えます。 追伸。 執事様から“妻がいる方が強くなる”とありがたい助言を頂きましたので、ことが落ち着きましたら、後妻をお迎えくださいまし』 これは、天然でお馬鹿な娘(妻)の逃亡劇を綴る物語。あるいはどうにかして彼女を連れ戻そうとする若干病んだ夫の、苦労話のひとつ(あくまでひとつ)である。 ◆本編全5話。 ◆タイトルの割にシリアス含みます。
更新:2015/6/30
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「やあ、これはこれは、こんなところに来るなんて、酔狂な人間もいたものだ」 着崩した甚平にハットを被るという、なんともチグハグな格好。それを上回る異質さは、彼の足元にあった。 「……浮いてる」 「そりゃあ死んでいるからね。幽霊の特権というやつさ」 呆然とした心が口から漏れ出る。彼は、そんな私を見て、けらけらと笑った。 『彼には死んでも死に切れぬ熱情があるのだ。私には、我が友人が救われる日がくるよう、願うことしかできなんだ』 祖父が書いた、“物思いにふける”幽霊を心配する手紙を読み、親孝行、もとい爺孝行のために、私は彼を成仏させようと試みる。 しかし彼は、信頼の置けぬ人間には相談だってできぬと言う。そこで、私は彼の元を度々訪れることにしたのだが──。 ★「情緒をわかっていない」と言われる“私”と、一見飄々としている幽霊が、時間と会話を重ねるお話。
更新:2015/10/31
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召使い(掃除婦)として雇われた九十九コヨミが案内されたのは、彼女の家の敷地面積程はありそうな広ーい部屋に、所狭しと置かれたテレビの山。 「主人は、この部屋の全てのテレビが常に綺麗でないと気が済まないようなのですよ」 「それは……画面はもちろん、側面も裏面も全て含めてということでしょうか」 もちろん、と九十九を案内した白ヒゲ執事長は頷いた。鬼畜だ。 九十九が屋敷に辿り着き、十五分。それ以上の説明は不要だと、九十九を部屋に押し込めて執事長は去った。カチンときた九十九は誓う。一泡吹かせてやる、と。 ◆前編後編の二部構成です。
更新:2015/4/26
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あるところに、祈山という神社がありました。そこには、祈ることを得意とする神様がおりました。 それほど参拝者は多くありませんでしたが、来る人は決まって手を合わせ、自分の幸せを、他人の幸せを、そうでなければ誰かが不幸になりませんように、と祈りました。 神様はそのひとつひとつに耳を傾け、彼らの幸せを祈り、去り行く背中に微笑みを向けました。 いつも、そうしていました。 ──ある日、神社にある少女が訪れました。泣き腫らした目をした少女でした。 (神様、どうか──) これは、ある神様と少女の、一方通行にしかならない想いの物語。
更新:2015/12/22
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