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作:瑞浪信太郎

夕闇カフェの陰陽師  紅茶とケーキに祟りを添えて

いくら時代は進もうと 他人を泣かせて 私腹を肥やす 人でなしらがデカい顔 悪い奴程笑って生きて 正直者が泣きを見る  それが仕組みと諦めるなら この世は地獄と変わらない。 踏まれ 齧られ 貶められて 涙に濡れた両の手で 手折る花弁 怨み花 死にたい程に辛いかい? 殺したい程に怨めしい? だったらほんの少しだけ、顔をあげてご覧なさいな 泣いてる貴方の足元に咲く 名も知らぬ小さな花を手に 『タタリアン』という名のカフェにお寄りなさい 美味しい紅茶とケーキを堪能できたなら それが合図 あなたの怨みは祟りへ変じ 相手を祟り殺してくれることでしょう 但しこの事 くれぐれも 口外無用でお願いします。  小夜鳴市にある小さなカフェ『タタリアン』  この店で紫色の花をテーブルに置いて、殺してやりたい位に憎い相手を思い浮かべると、その相手が本当に死ぬ。って噂話を聞いた事はある?  このお店はケーキと紅茶の美味しい小さなカフェだけど、それは表向きの顔。裏では、依頼人の怨む相手を始末するという裏家業をしているの。  美味しいケーキと紅茶が織り成す、ちょっと不思議で素敵な話…とでも思った?そんなのを求めているのなら、さっさと回れ右する事をオススメするわ。  それでも聞きたいの?なら教えてあげる。  店主の名は葛葉紫苑。彼女は依頼人の怨みを『祟り』という形に変えて呼び出す異端の陰陽師。  彼女が呼び出す『祟り』とはすなわち…妖怪。そう、夜は墓場で運動会のアレね。  彼女は古書『画図百鬼夜行』をはじめとする様々な古書や巻物から、妖怪という古き異形を呼び出すの。そして依頼人が怨む相手に『祟り』として送りつけ、殺す。  そんな彼女に付き従うは羅刹をも切り伏せるという超絶イケメン、不来方相志。式神が一匹と新米陰陽師の子が一人。   彼女達は何故に夕闇の境に立ち、祟り続けるのか。それは…  おっと…それじゃあ私もこの辺で。  そうそう。これは忠告よ。  この話、くれぐれも荒唐無稽な他人事とは思わないようにね。 ※ エブリスタ様にマイナーアップデート版を掲載しています

更新:2020/4/10

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