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作:歌うたい

拝啓女神様へ。どうも、貴女に悪役モブにされた者です。原作のシナリオぶっ壊すついでにこちらの鬱ゲーの主人公、俺のヒロインにしますけど構いませんね?

 熱海 憧(あたみ しょう)は主人公(ヒーロー)に憧れていた。  怪人を倒す仮面のヒーローは良い。  怪獣を倒す巨人のヒーローも良い。  剣を片手に鎧を纏い、魔物を倒す王道のヒーローなんて格別だ。   時に闘い、時に救い、時に助けた美少女に好かれて、悪に挫け、道に迷い、意義に嘆き……  それでも前へ未来へ邁進する、そんな王道を往く主人公(ヒーロー)に、ショウは憧れていた。  けれど彼の一度目の人生は、輝かしい未来を歩む事なく幕を下ろした。 「今回の手違い、誠に申し訳ありませんでした」 「お詫びとして、次なる生は貴方が望む世界に。はい。え、はい……はい?」 「ええと、とりあえずヒーローになりたい、ですか?はぁ……変わった考えをお持ちですね」 「分かりました。では、貴方が次に生きる世界ではそのように、はい」 「では、逝ってらっしゃいませ」 「ふぅ。一時はどうなることかと……んぇ? なんですか。え、彼が言ってたのはヒイロという名前のキャラクターじゃなくて、ヒーロー。つまりは主人公だと?」 「…………え、うそ。彼の次の人生、主人公どころか、悪人寄りのモブキャラなんですがそれは。どどど、どうしましょう……」  これは、俗に言う”鬱ゲー”と呼ばれた、とある剣と魔法のコマンド式RPGの世界にて。  噛ませ犬貴族の取り巻きキャラクターに憑依しながらも自分を主人公と思い込んだ精神異常モブキャラが「でも俺主人公だから何とかなる!」の精神で、悪役故の周囲の低評価やら鬱展開やら黒幕の思惑やらを無自覚にお構いなしにぶち壊していく物語である。  

更新:2022/11/28

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