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作:霜月零

悪役令嬢の兄になりまして

 妹の魔力の暴走で生死の境を彷徨った俺は、今いる世界が乙女ゲーム「宝石のように煌いて」の世界であると思い出した。  そしてラングリース=ジャックベリーたる俺は、悪役令嬢の兄であるという事も。  思い出したからには、破滅の運命を回避しよう。  可愛い妹を悪役令嬢ではなく普通の令嬢に育て上げ、そして破滅しても死ぬことだけは避けれるように。  悪役令嬢的BADENDは大まかに分けて三種類ある。  没落ルート、自殺ルート、宝石ルート。  特に宝石ルートはこの乙女ゲーの目玉とも言えるようなBADENDで、王子の不興を買った妹は、なんと魔法により宝石の刑に処せられるのだ。  宝石の刑とは、瞳の色と同じ宝石に変えられてしまう刑。  宝石に変えられて砕け散る妹はそれはそれは美しいスチルだったが、砕け散るのが妹の命となれば、この世界では絶対に見たくない。  BADENDは全て避けたいが、最悪、妹が死ぬ2と3のルートを避け、没落後も生活できるように、俺は手に職をつけよう。  妹と、両親を食べさせていけるように。   

更新:2016/7/11

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作:白うつぼ

悪役令嬢は氷の貴公子と円満婚約破棄計画を立てる〜やるからには全力で演じきりますわ〜

 事の発端はスプリングホリデーで社交界シーズン真っ只中の為、王都の邸宅で過ごしていた時のこと。  毎年スプリングホリデー時は幼なじみのヴォルフは暇人なのか、よく我が家に連絡も入れずに訪問してくる。最初は注意していたけど聞く耳持たないしもう無視している。  そんな彼といつものように応接室でティータイムを楽しんでいる時、まさに今この時私は全てを思い出した。  こことは違う――そう、前世の記憶を………  そして、あることに気づき持っていたティーカップを落とした。  ガチャンッと音を立てて割れる音が聞こえた気がした。  なんて事だ。そんなまさか……  ぽかーんと口を開け呆然とする私を見てヴォルフは怪訝な目を向け、そんな彼の手を私はむんずと掴み立ち上がる。 「レイ!片付けてちょうだい!あと、今からヴォルフを大事な話があるから誰も通さないように!!」 「畏まりましたお嬢様」 「…は?いきなりなんだ……ておい!待てって!!」  ヴォルフは私が無言で手を繋いだまま歩き出したことに慌てながらも私に着いてくる。  公爵令嬢らしからぬ大股で兎に角早く執務室にと急ぎ、扉をバン!と開きヴォルフを先に入れ閉める。  何故いきなりここに連れ出されたか分からない、といった表情の彼に私は言った。 「―――私、思い出したの…今から話すことは他言無用よ!」 そして、この日を境に私の人生は激変するのであった。

更新:2022/2/16

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