愛とは至上の行為である。愛を尊ぶ魔王様は仰いました。だから魔王様は愛する女を求め、そして喰らうのです。それが、魔王様の愛でした。そんな魔王様の愛を求める娘が一人。娘は言います。私を食べてよ、と―――――――
更新:2011/12/15
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心優しい少女は、心優しい少年と想いを通わせ、幸せになりましたとさ。めでたし、めでたし。――――――――それは、夢のような物語だ。しかし、この世界は優しいだけの物語ではない。この世界は心優しい少女と少年を中心に回っている訳でもない。幸福の影には、ヒーローになれなかった彼がいた。
更新:2014/3/16
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――それからしばらくして、人々には吉報が届きました。長く人々を恐怖に陥れていた森の王が、死んだというのです。恐怖からの解放に、人々が歓喜に湧くのは道理でした。 森の王は、確かに死にました。けれど、人々は知りません。何故、森の王が死んだのか。どうして森の王が、死の選択をしたのか。 それを知るべき唯一の人は、もう、どこにもいないのですから。
更新:2017/3/17
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エルザの紳士な婚約者は、存外素直な人だった。 社交的で言葉を選ぶことはするけれど、楽しいと笑い、悲しいと落ち込み、怒ると拗ねたように唇を尖らせる。 そして、嬉しいときには輝くような笑顔を見せるのだ。 ――だから、つまり。 彼がエルザに愛を囁くことがないのは、そういうことなのだろう。
更新:2016/12/1
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