「…アンリ。俺、絶対立派になって、お金持ちになって帰ってくるよ。…待っててくれ。」 この何も無い村で一緒に育ってきた幼馴染は、そう言って私を強く抱き締めてから…馬車へと乗り込んだ。行かないでと言いたかったけど、泣きすぎて喉が引きつり声が出なかった。 「私も…待っ…てる…から…!」 それでも絞り出すように言えば、彼は小さく笑って手を振り返してくれた。 走り出す馬車が村の出口を通り過ぎていく。森の木々に隠れて彼の空色の髪も見えなくなった。それでも私は手を振り続けた。彼が帰ってきますように、祈りを込めて。 祈りが彼に届くはずなんて、なかったのに。
更新:2021/1/11
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「…ジュリア。」 「ええ、わかってますわ。…考えてみれば当然だったのかもしれませんわね。」 元冒険者にして元隣国の王子だった夫は、口数こそ少ないが私をよく補佐してくれる。だが、そんな彼でもこの事態は読めなかったのだろう。いつもの無表情が固くなっている。 「勇者が二人いるなら、魔王だって二人いてもおかしくありませんでしたのに。」 失態を悔いるには、時間が足りない。 これは恋を失った護衛騎士と、その親友が綴る最後の物語。
更新:2021/1/14
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卒業パーティーで突如婚約破棄と国外追放を告げられた私は、私室でメイドのミュリエルと共に荷物をまとめていた。破棄の理由はあまりにも下らなさすぎるので詳しく説明する気も起きないけど、要するに私が悪玉で、殿下とふわふわ頭ちゃんが善玉という筋書きらしい。 だけど悪玉と善玉で世の中を単純に区別できるなら、誰も苦労しないわよ。
更新:2021/8/12
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「健太くんは、どんなお願い事するの?」 「ゆうちゃんが先に言ってよ」 「えー、恥ずかしい!」 ゆうちゃんはモジモジしながら、健太くんの手をギュッと握ります。 「えっと……健太くんのお嫁さんになれますよーにって!えへへ」 健太くんはとても悲しい気持ちになりました。 「……そんなの願わなくていいよ」
更新:2021/12/3
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廃棄処分が決まり、自己廃棄申請を行うために廃棄工場へ向かったJ-71だったが、なんと指定の廃棄工場が倫理規定違反によって閉鎖されていた。既に廃棄寸前だった彼は歩くこともままならず、途方に暮れる。そんな時、一人の活発な少女と出会った。 「ありがとうございます。お名前を教えてもらえますか?」 「メラニー!おじいちゃんのおなまえは?」 「私はJ-71と言います。よろしくお願いします、メラニー」 「ジェ……?じゃあ、ジェイさんで良いよね。よろしくね、ジェイさん!」 これは一人と一台の出会いと別れの物語。 ■7/24,25,26,27ヒューマンドラマカテゴリ日間一位でした。ありがとうございます。
更新:2021/7/23
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ライナス・フォン・デュラン第一王子が急に婚約者を蔑ろにし始めたのは実に御年15歳の頃。成人を迎え、学園に入学した年。 その日、学園の教室で、二人のやんごとなき身分の男女が向かい合っていた。その一人は私なんですけどもね。
更新:2021/2/16
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聖女とは全ての疾病を癒し、全ての傷を癒し、全ての害意から守る者とされている。最も神に近い存在とされ、結婚できる相手は神以外にはないとされるため、聖女になった者は皆結婚せず、子を一人も生さないという。 自分こそが最も心清らかであると確信できる人間が、心清らかであるはずがない以上、誰が聖女として選ばれるかは分からない。それでも、この乙女なら聖女に選ばれるかもしれないと他人から思わせる人間は一定数いた。それは救国の英雄だったり、可憐な王女だったり、教会のシスターだったりと様々だが、私の場合は目の前にいる平民の少女だった。
更新:2021/7/22
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私はこんなにも殿下のことが好きなのに、殿下はいつも妹しか見なかった。声をかけてもまともに返事をしないで、私の方を見もしないで、妹ばかり見て、妹にだけ名前を呼ぶことを許した。 ある日から、私は悪夢を見るようになった。 それは私が妹と殿下の恋を邪魔して何度も破滅する、長い長い悪夢。破滅を避けるための方法は一つしかないと思った。それは、私が恋を諦めて、妹と殿下の恋を応援することだった。 2021/3/1 第9回ネット小説大賞に応募してみました。
更新:2021/2/1
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「もう遅い」 最近我が城で頻繁に聞かれるこの言葉に、国務大臣である私は頭を抱えていた。このままでは国が立ち行かなくなる。 よし、ならば諸君!研修を行おうではないか! 学ぶに当たって”今更もう遅い”などありえないからな!
更新:2021/1/28
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